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税理士に頼むかどうかの判断と依頼の流れ|頼める業務と自分でやる範囲

公開 2026-10-29 監修:株式会社エージェントベスト

税理士に頼むかどうかは、売上の額だけでは決まりません。「1年分の記帳と申告書の作成を自分で続けられるか」「インボイス登録などで消費税の申告が加わるか」「その作業の時間を案件に回したいか」の3つで考えると、判断しやすくなります。

頼める業務は、税務代理・税務書類の作成・税務相談の3つと、それに付随する記帳などの会計業務です。このうち最初の3つは、無償であっても税理士等でない人は行えません。この記事では、2026年10月時点の国税庁と日本税理士会連合会の案内をもとに、依頼の判断と流れを整理します。税理士報酬の金額は事務所と依頼の範囲で大きく変わるため、ここでは扱いません。

税理士に頼める業務

日本税理士会連合会は、税理士の主な仕事を次のように説明しています。

業務内容フリーランスの場面
税務代理本人に代わって確定申告や青色申告の承認申請を行い、税務調査に立ち会い、更正・決定への不服申立てなどを行う申告の提出、税務署からの問合せ・調査への対応
税務書類の作成確定申告書や青色申告承認申請書など、税務署に出す書類を作る所得税・消費税の申告書の作成
税務相談税金について分からないこと、困ったことの相談に応じる経費の判断、法人化の時期、インボイス登録の判断
会計業務(付随業務)財務書類の作成、帳簿の記帳代行など記帳、決算書の作成

このほか、本人の依頼で申告書をe-Taxで代理送信することもできます。その場合、本人の電子証明書は要りません。

税理士以外には頼めない業務

国税庁によると、税務代理・税務書類の作成・税務相談は、たとえ無償でも税理士等でない人は行ってはならないとされています(税理士法人や、国税局長に通知した弁護士なども行えます)。税理士でないのにこれらを行う人は「にせ税理士」と呼ばれ、2年以内の拘禁刑または100万円以下の罰金に処せられる場合があります。

依頼する側にも影響があります。国税庁のリーフレットは、にせ税理士に頼むと、本来より高い税額で申告されたり、税務調査で追徴課税されたりするなど、思わぬ損害を受けるリスクがあると注意しています。相手が税理士かどうかは、税理士証票の提示を求めるか、日本税理士会連合会の「税理士情報検索サイト」で確かめられます。

頼むかどうかを決める観点

一律の基準はありません。次の表で、自分に当てはまる行が右側に多いほど、依頼を検討する理由が増えます。

観点自分でやりやすい状況依頼を検討したい状況
取引の数取引先が1〜2社で、毎月の請求が定額取引先が多い、スポットの請求や立替えが多い
消費税免税事業者のままインボイス登録をして消費税の申告が必要
帳簿会計ソフトの入力を毎月続けられる記帳が年末にたまりやすい
控除・特例使う控除が少ない青色申告の65万円控除、減価償却、家事按分などを自分で判断しきれない
今後の予定個人のまま続ける法人化を考えている、税務署から問合せが来た

特に、インボイス登録をすると、所得税に加えて消費税の申告と納税が始まります。計算方法の選び方(2割特例・3割特例・簡易課税など)で納税額が変わるため、登録を考える時点で相談しておくと判断がぶれにくくなります。登録の判断はインボイス登録の判断の記事、消費税の申告は消費税の納税の記事で解説しています。

依頼の範囲は「全部」か「一部」か

税理士への依頼は、すべてを任せる形だけではありません。自分の作業と税理士の作業の分け方で、主に次の形があります。

依頼の形自分でやること税理士がやること
記帳から申告まで領収書・請求書・明細をまとめて渡す記帳、決算書と申告書の作成、提出
決算と申告だけ1年分の記帳帳簿の確認、決算整理、申告書の作成と提出
相談だけ(スポット)記帳と申告の全部判断に迷う点への回答

依頼の範囲が広いほど、報酬は高くなるのが一般的です。金額は事務所ごとに決まっているため、見積もりをとるときは、何を・いつまでに・どの形で渡すかを書面で確かめておきます。会計ソフトを自分で使っている場合は、そのデータをそのまま渡せるかも確認しておくと、作業の重複を避けられます。ソフトの選び方は会計ソフトの記事をご覧ください。

依頼の流れ

  1. 依頼の範囲を決める:上の表のどの形にするか、所得税だけか消費税も含むかを決めます
  2. 税理士を探す:知人の紹介のほか、税理士情報検索サイトで事務所の所在地や登録を確かめられます。全国の税理士会は、各地で無料の税務相談も行っています
  3. 面談で確かめる:下の「面談で確かめたいこと」を参考に、対応の範囲と進め方を聞きます
  4. 契約する:業務の範囲、報酬、資料を渡す期限、申告書の提出方法(e-Taxの代理送信か)を契約書で確かめます
  5. 資料を渡す:請求書の控え、入金の記録、経費の領収書、源泉徴収された報酬の明細、控除の証明書などを渡します
  6. 申告書を確認する:提出前に内容の説明を受け、提出後は申告書の控えと受付の記録を受け取って保管します

面談で確かめたいこと

書面添付制度

税理士は、申告書の作成にあたって計算した事項や相談を受けた事項を書いた書面を、申告書に添付できます(書面添付制度)。国税庁によると、この書面が添付された申告書について事前に通知して税務調査を行う場合は、その通知の前に、税務代理をする税理士に意見を述べる機会を与えることになっています。依頼するときに、この制度を使うかどうかを聞いておくのも一つの方法です。税務調査の流れは税務調査の記事で解説しています。

依頼する時期の目安

確定申告の期限(令和8年分は2027年3月15日)の直前は、新しい依頼を受けてもらえないことがあります。依頼を考えるなら、次のような節目で早めに動くと進めやすくなります。

申告全体の日程は確定申告の流れの記事にまとめています。法人化を考えている場合は、法人化のタイミングの記事もあわせてご覧ください。

よくある質問

売上がいくらになったら税理士に頼むべきですか?

公的に決まった基準はありません。売上が少なくても取引が複雑な人もいれば、売上が大きくても取引先が1社で記帳が簡単な人もいます。売上の額より、記帳を続けられるか、消費税の申告が必要か、判断に迷う論点がどれだけあるかで考えてください。

税理士に報酬を払うとき、源泉徴収は必要ですか?

国税庁によると、給与所得について源泉徴収義務がある個人以外の個人は、税理士などに払う報酬について源泉徴収をする必要はありません。従業員がおらず給与を払っていないフリーランスは、通常はこれに当たります。家族や従業員に給与を払っている場合は扱いが変わるため、税理士か税務署にご確認ください。

申告書の作り方を、税理士でない知人や家族に手伝ってもらってもよいですか?

他人に代わって申告書を作ることや、税金の相談に応じることは税理士業務に当たり、国税庁は、無償でも税理士等でない人は行ってはならないとしています。相手が家族や知人でも、手伝ってもらう範囲には注意が必要です。どこまでが問題になるかの判断に迷うときや、税額の計算で迷う内容は、税理士会の無料相談や税務署の相談窓口を利用してください。

参考にした公的情報・資料

記事の内容は公開日時点の情報にもとづきます。制度や税率は変わることがあるため、手続きの前に必ず各機関の最新情報をご確認ください。

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