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フリーランスが取引トラブルにあったときの相談先|110番と行政への申出の使い分け

公開 2026-10-29 監修:株式会社エージェントベスト

フリーランスが取引トラブルにあったときの主な相談先は、弁護士に無料で相談できる「フリーランス・トラブル110番」と、公正取引委員会・中小企業庁・厚生労働省への「申出」の2つです。法律違反かどうかわからない段階や、話し合いで解決したい場合は110番、発注者の法律違反を行政に調べてほしい場合は申出が向いています。

どちらも、フリーランス新法の申出を理由に発注者が取引を打ち切るなどの不利益な扱いをすることは禁止されています。2026年10月時点の各機関の案内をもとに、使い分けを整理します。

まず整理したい3つのこと

相談の前に、次の3点をメモにしておくと、どこに相談しても話が早く進みます。

  1. 契約の相手と条件:誰と契約しているか(仲介会社経由かどうか)、報酬の額・支払期日・契約期間。発注書や契約書、条件が書かれたメール・チャット
  2. 起きていること:未払い・減額・一方的な解除・ハラスメントなど、何がいつ起きたか。日付つきで時系列にする
  3. 自分の希望:支払ってほしい、契約を続けたい、違反をやめさせたい、など。希望によって向く相談先が変わる

相談先の比較

相談先向いている場面できないこと
フリーランス・トラブル110番違反かどうかわからない、話し合いで解決したい、申出の準備をしたい代理人として交渉する、弁護士の紹介、網羅的な契約書チェック
公正取引委員会・中小企業庁への申出条件の明示、支払期日、減額・買いたたきなどの違反を調べてほしい当事者間の仲裁や和解の仲介
都道府県労働局(厚生労働省)への申出ハラスメント対策、中途解除の予告、募集情報などの違反を調べてほしい当事者間の仲裁や和解の仲介
都道府県労働局への相談実態として労働者にあたるのではないかと思う—

フリーランス・トラブル110番

概要

厚生労働省の委託を受けて、第二東京弁護士会が運営している相談窓口です。公正取引委員会、厚生労働省、中小企業庁と連携しています。相談は無料で、匿名でも相談できます。

方法内容
電話0120-532-110(9:30〜16:30、土日祝日を除く)
メール公式サイトのお問い合わせフォームから随時受付。返信は通常3〜4営業日以内
Web(ビデオ通話)必要に応じて対応。完全予約制で、まずフォームから申し込む
対面窓口への直接の来訪には対応していない

受付時間は変わることがあるため、利用前に公式サイトでご確認ください。

和解あっせん

話し合いでの解決を目指す場合は、和解あっせんを利用できます。10年以上の経験を持つ弁護士から選ばれた和解あっせん人が、双方の話を聞いて利害を調整し、解決案を示します。公式サイトでは、裁判に比べて申立てが簡単で、解決までの期間が短く、非公開で進むと説明しています。費用は無料です。

申出の準備も手伝ってもらえる

パンフレットでは、110番が行政機関への申出について、申出書の書き方や論点の整理を支援するとしています。ただし、申出書の作成や提出の代行はできません。

110番で扱わない相談

公式サイトでは、次の相談は対象外としています。

契約書については、質問を具体的にすれば相談できますが、全体を網羅的にチェックすることはできないとされています。また、相談を担当する弁護士が代理人になったり、相手と直接交渉したりすることはできません。

相談件数

厚生労働省の資料によると、110番の相談件数は令和7年度(2025年度)に13,400件でした。同年度の和解あっせんは、受付247件、実施204件、和解成立63件です。令和8年(2026年)9月の相談件数は1,292件でした。

行政機関への申出

申出できる内容と窓口

発注者にフリーランス新法の違反と思われる行為があれば、フリーランスは行政機関に申し出て、適当な措置を求めることができます(第6条・第17条)。内容によって担当が分かれます。

内容条文担当
取引条件の明示、支払期日、7つの禁止行為、申出による不利益な扱い第3〜5条、第6条第3項公正取引委員会・中小企業庁
募集情報の表示、育児介護等への配慮、ハラスメント対策、中途解除の予告・理由開示、申出による不利益な扱い第12〜14条、第16条、第17条第3項厚生労働省(都道府県労働局 雇用環境・均等部(室))

申出の方法

厚生労働省の案内では、申出の対象は2024年11月1日以降に締結・更新などをした業務委託契約とされています。申出の前に、公表されている「申出受付事前確認表」で要件を確認するよう求めています。

申出のあとの流れ

行政機関は、必要に応じて報告徴収や立入検査で調べ、指導・助言や勧告を行います。勧告に従わない場合は命令・公表が行われ、命令に違反すると50万円以下の罰金の対象になります。

一方で、行政機関は当事者間の仲裁や和解の仲介はしません。違反と認められない場合は行政指導も行われず、調査の方法や進み具合も申出をした人には回答されないとされています。未払いの報酬を取り戻すことが一番の目的なら、110番の和解あっせんや弁護士への依頼もあわせて検討しましょう。

労働者にあたるかもしれないとき

業務委託契約を結んでいても、実態として労働者と判断される場合は、フリーランス新法ではなく労働関係の法律が適用されます。厚生労働省の案内では、自分が労働者にあたる可能性がある場合は、最寄りの都道府県労働局に相談するよう示しています。その際に使える自己診断のチェックリストも公表されています。働き方の線引きは偽装請負の記事もご覧ください。

トラブル別の相談先の目安

トラブルまず確認すること相談先の目安
報酬が期日に払われない支払期日、請求書の送付、口座情報110番、公正取引委員会・中小企業庁
一方的に報酬を減らされた明示された報酬額、減額の理由110番、公正取引委員会・中小企業庁
条件を書面でもらえないメール・チャットの記録公正取引委員会・中小企業庁
6か月以上の契約を突然切られた契約期間、予告の有無110番、都道府県労働局
ハラスメントを受けた日時・内容の記録発注者の窓口、都道府県労働局、110番

各義務の中身は、60日ルール、取引条件の明示、中途解除の30日前予告、ハラスメント対策の記事で解説しています。

よくある質問

フリーランス・トラブル110番に相談したことは、発注者に伝わりますか?

相談は匿名でもできます。110番の弁護士が相手と直接交渉することはないため、相談しただけで発注者に連絡が行くことはありません。和解あっせんは相手方を交えて話し合う手続きなので、利用するかどうかは相談のうえで決められます。

申出をすれば、未払いの報酬を取り戻してもらえますか?

行政機関は違反を調べて指導や勧告を行いますが、当事者間の仲裁や和解の仲介はしないとされています。公正取引委員会の令和7年度の運用状況では、発注者からフリーランスへの原状回復が総額1,734万円あったと公表されていますが、報酬の回収そのものを目的とするなら、110番の和解あっせんや弁護士への依頼もあわせて検討しましょう。

自分が発注した外注先とのトラブルも110番に相談できますか?

できません。公式サイトでは、フリーランス自身が発注する側になった場合のトラブルは対象外としています。外注先との関係で気をつけたい点は再委託の記事で解説しています。

参考にした公的情報・資料

記事の内容は公開日時点の情報にもとづきます。制度や税率は変わることがあるため、手続きの前に必ず各機関の最新情報をご確認ください。

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