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フリーランス新法・下請法

フリーランス新法の要点|発注側の義務とフリーランスの権利(2026年版)

公開 2026-10-29 監修:株式会社エージェントベスト

フリーランス新法(正式名称:特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律)は、2024年11月1日に施行された、フリーランスと発注者の取引のルールを定める法律です。発注者に、取引条件の明示、60日以内の報酬支払、7つの禁止行為、募集情報の的確な表示、育児介護との両立への配慮、ハラスメント対策、中途解除の30日前予告などを義務づけています。

どの義務がかかるかは、発注者の規模(従業員を使っているか)と、業務委託の期間(1か月以上・6か月以上)で変わります。この記事では2026年10月時点の公表資料をもとに、全体像を整理します。

法律の目的と所管

フリーランス新法は、「取引の適正化」と「就業環境の整備」の2つの観点から、発注者が守るべき義務と禁止行為を定めています。個人のフリーランスと組織である発注者の間には交渉力の差があり、報酬の不払いやハラスメントなどのトラブルが起きやすいことが背景にあります。

所管は分かれていて、取引の適正化に関する部分は主に公正取引委員会と中小企業庁、就業環境の整備に関する部分は主に厚生労働省が担当しています。解釈の指針である「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律の考え方」は、2024年5月に策定され、その後も改正されています(直近は2026年10月1日)。

対象になる「フリーランス」と「発注者」

フリーランス(特定受託事業者)

法律上のフリーランスは「特定受託事業者」と呼ばれ、業務委託の相手方である事業者のうち、次のどちらかにあたる人です。

「従業員を使用」とは、1週間の所定労働時間が20時間以上で、31日以上継続して雇用される見込みの労働者を雇っていることをいいます。同居の親族だけを使っている場合はあたりません。会社員が副業で業務委託を受けている場合も、その副業についてはフリーランスにあたります。

一方で、業務委託契約を結んでいても、実態として労働基準法上の労働者と判断される場合は、労働基準関係法令が適用され、この法律は適用されません。

発注者

発注者は2種類に分かれます。

区分定義かかる義務
業務委託事業者フリーランスに業務委託をするすべての事業者(従業員のいないフリーランス同士の発注も含む)取引条件の明示
特定業務委託事業者従業員を使用する個人、または役員が2人以上いるか従業員を使用する法人明示に加えて、下の表の義務

フリーランスに再委託する仲介会社や、実質的にフリーランスに業務委託をしているといえる事業者も、発注者にあたります。

発注者の義務と禁止行為の一覧

義務・禁止行為条文対象となる発注者・取引
取引条件の明示第3条すべての発注者
期日における報酬の支払(60日以内)第4条特定業務委託事業者
7つの禁止行為第5条特定業務委託事業者・1か月以上の業務委託
募集情報の的確な表示第12条特定業務委託事業者
育児介護等と業務の両立への配慮第13条特定業務委託事業者・6か月以上の業務委託(それ未満は努力義務)
ハラスメント対策の体制整備第14条特定業務委託事業者
中途解除・不更新の30日前予告と理由開示第16条特定業務委託事業者・6か月以上の業務委託

期間には、契約の更新によって通算で1か月以上・6か月以上になるものも含まれます。

取引条件の明示(第3条)

業務委託をしたら直ちに、業務の内容、報酬の額、支払期日などを書面またはメール・チャットなどで明示する義務です。口頭だけでは足りません。受け取るべき内容は取引条件の明示の記事で解説しています。

報酬の支払期日(第4条)

給付を受領した日から60日以内のできる限り短い期間内で支払期日を定め、その日までに支払う義務です。仲介会社などが再委託する場合は、一定の事項を明示すれば、元の発注者からの支払期日から30日以内とすることもできます。詳しくは60日ルールの記事をご覧ください。

7つの禁止行為(第5条)

1か月以上の業務委託では、次の行為が禁止されています。

  1. 受領拒否
  2. 報酬の減額
  3. 返品
  4. 買いたたき
  5. 購入・利用の強制
  6. 不当な経済上の利益の提供要請
  7. 不当な給付内容の変更・やり直し

公正取引委員会のQ&Aでは、振込手数料を報酬から差し引くことは、合意があっても報酬の減額にあたるとされています。

就業環境の整備(第12条〜第16条)

募集広告に虚偽や誤解を生む表示をしないこと、ハラスメントの相談体制を整えること、6か月以上の業務委託で育児介護との両立に配慮することが求められます。6か月以上の業務委託を発注者が中途解除したり更新しなかったりする場合は、原則として30日前までに予告し、求めがあれば理由を開示しなければなりません。詳しくは中途解除の30日前予告の記事で解説しています。

違反があったときの流れ

発注者に違反と思われる行為があった場合、フリーランスは公正取引委員会、中小企業庁、厚生労働省に申し出ることができます。オンラインでの申出のほか、公正取引委員会の地方事務所、経済産業局、都道府県労働局でも受け付けています。

申出を受けた行政機関は、報告徴収や立入検査で調べ、指導・助言や勧告を行います。勧告に従わない場合は命令・公表が行われ、命令に違反すると50万円以下の罰金が科されます。また、発注者は、フリーランスが申出をしたことを理由に契約解除などの不利益な取扱いをしてはならないとされています。

法律違反かどうかわからない場合は、厚生労働省の委託事業で、弁護士に無料で相談できる「フリーランス・トラブル110番」も利用できます。相談先の選び方は相談先の記事にまとめています。

施行後の運用状況

公正取引委員会が2026年6月に公表した令和7年度(2025年度)の運用状況によると、フリーランスからの申出は604件、勧告は10件、指導は1,542件でした。違反行為の類型では、期日における報酬の支払義務違反が1,135件(41.6%)、取引条件の明示義務違反が1,126件(41.3%)で、この2つが大半を占めています。発注者からフリーランスへの原状回復は総額1,734万円でした。

報酬の支払と条件の明示は、フリーランス側でも確認しやすい項目です。条件が書面で届いているか、支払期日が守られているかを日頃から記録しておくと、困ったときに相談しやすくなります。

下請法(取適法)との関係

2026年1月1日から、下請法は「製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律」(取適法)に改められています。フリーランスとの取引で、フリーランス新法と取適法の両方に違反する行為については、公正取引委員会は原則としてフリーランス新法を優先して適用するとしています。2つの法律の違いは下請法とフリーランス新法の違いの記事で解説しています。

よくある質問

副業で業務委託を受けている会社員も対象になりますか?

対象になります。公正取引委員会などのパンフレットでは、会社に雇われている人が副業で事業者として業務委託を受けている場合、その副業についてはフリーランス(特定受託事業者)にあたるとしています。従業員を雇っていないことが条件です。

法人化した一人社長もフリーランス新法の対象ですか?

代表者1人以外に役員がおらず、従業員も使用していない法人は、特定受託事業者として対象になります。役員が2人以上いる場合や、週20時間以上・31日以上の雇用見込みの従業員を雇っている場合は対象外です。

違反を申し出たら、取引を打ち切られませんか?

フリーランス新法では、行政機関に申出をしたことを理由に、契約解除や今後の取引をしないといった不利益な取扱いをすることを禁止しています。申出の前に状況を整理したい場合は、弁護士に無料で相談できるフリーランス・トラブル110番も利用できます。

参考にした公的情報・資料

記事の内容は公開日時点の情報にもとづきます。制度や税率は変わることがあるため、手続きの前に必ず各機関の最新情報をご確認ください。

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