業務委託の契約期間の決め方|1か月更新と3か月更新の違いと法律の線
公開 2026-10-29 監修:株式会社エージェントベスト
業務委託の契約期間は、短いほど条件を見直しやすく、長いほど収入の見通しが立てやすいという関係にあります。IT案件では、初回を1か月や2か月とし、その後は3か月ごとに更新する形がよく見られますが、決まった型はなく、当事者の合意で決めます。
法律との関係では、1か月更新でも、同じ相手と同じ種類の仕事で更新を重ねれば期間は通算されます。フリーランス法では、通算1か月以上の委託で7つの禁止行為が、6か月以上の委託で不更新・解除の30日前予告などのルールがかかります。この記事では、期間ごとの違い、法律上の線、期間を決めるときに確かめる点を整理します(2026年10月時点)。
契約期間ごとの違い
よく見られる期間について、フリーランス側から見た違いをまとめます。
| 契約期間 | よい点 | 気をつけたい点 |
|---|---|---|
| 1か月 | 合わない案件から離れやすい。単価や稼働の見直しを毎月話題にできる | 毎月が更新の判断になり、収入の見通しが立ちにくい。更新の手続も毎月発生する |
| 3か月 | 更新の判断が四半期ごとになり、次の予定を立てやすい。見直しの機会も適度にある | 期間の途中で抜けたいとき、解約の予告期間に従う必要がある |
| 6か月以上 | 収入の見通しが立ちやすい。プロジェクトの区切りと合わせやすい | 条件の見直しが期間の終わりまで先になりやすい。合わなかったときに離れにくい |
初回だけ短くするのは、発注側にとっては参画後の様子を見るため、フリーランスにとっては現場が合うかを確かめるためで、双方にとって意味があります。初回1か月・以降3か月などの形は、こうした事情から使われることが多い組み合わせです。
「契約期間」と「プロジェクトの期間」は別物
案件情報に「長期」と書かれていても、契約期間は1か月や3か月で、それを更新していく前提であることがほとんどです。長期の見込みは、あくまで見込みであり、期間が保証されているわけではありません。案件情報の読み方は長期案件の記事も参考にしてください。
法律上の2つの線:通算1か月と6か月
フリーランス法には、委託の期間によってかかるルールが2段階あります。どちらも、従業員を使う発注者(特定業務委託事業者)が対象です。
| 期間 | かかるルール | 根拠 |
|---|---|---|
| 1か月以上 | 受領拒否・報酬の減額・返品・買いたたき・購入や利用の強制・不当な経済上の利益の提供要請・不当な給付内容の変更ややり直し、の7つの禁止 | 第5条、施行令第1条 |
| 6か月以上 | 契約の解除や更新しない場合の30日前予告(災害などやむを得ない場合などの例外あり)、解除の理由の開示、妊娠・出産・育児・介護への配慮 | 第13条・第16条、施行令第3条 |
期間の数え方では、初日を算入するとされています。また、1か月以上の期間を予定している委託であれば、実際に1か月が過ぎる前から禁止行為の規定の対象になります。
更新を重ねると期間は通算される
公正取引委員会・厚生労働省の「考え方」では、次の2つをどちらも満たす場合、前後の契約は「契約の更新により継続して行う」ものとして、期間を通算するとしています。
- 契約の当事者が同じで、仕事の内容が少なくとも一定程度同じであること
- 前の契約が終わった日の翌日から、次の契約を結んだ日の前日までの期間が1か月未満であること
仕事の内容が同じかどうかは、原則として日本標準産業分類の小分類を参照して判断し、それが適当でない事情がある場合は、機能・効用・態様などから個別に判断するとされています。
つまり、1か月契約を6回更新して通算6か月以上になれば、6か月以上の継続的な委託として扱われることがあります。「毎月の契約だから30日前予告は関係ない」とは限りません。不更新の予告のルールは30日前予告の記事で詳しく解説しています。
期間の長さで変わる3つのこと
1. 単価を見直すタイミング
単価の見直しは、更新のタイミングで話し合うことが一般的です。期間が短いと見直しの機会は増えますが、発注側から引き下げを打診される機会も同じだけ増えます。逆に期間が長いと、期間中の条件は合意したとおりに固まります。
なお、合意済みの期間の途中で、すでに決めた報酬を下げることは、1か月以上の委託ではフリーランス法の減額にあたるおそれがあります。引き下げを打診されたときの対応は単価を下げてほしいと言われたときの記事にまとめています。
2. 自分から終えるときの動き方
期間が長い契約で途中に抜けたい場合は、契約書の解約条項と予告期間に従います。期間満了で終えるのであれば、更新しないことを早めに伝えれば足りることが多く、途中で解約するより調整しやすくなります。途中解約の進め方は中途解約の記事で整理しています。
3. 次の案件探しの段取り
1か月更新の契約では、更新しないと分かってから次の案件を探すまでの時間が短くなりがちです。3か月更新でも、更新の意向を確認される時期は期間の終わりより前に来ます。いつ更新の判断が出るかを参画時に聞いておくと、空白期間を作らないように段取りできます。更新の流れは契約更新の記事で解説しています。
契約期間で確かめておきたいこと
契約を結ぶ前に、契約書や個別契約で次の点を確かめます。
- 契約期間の始まりと終わり:開始日と終了日が日付で書かれているか
- 更新の方法:期間ごとに個別契約を結び直すのか、異議がなければ自動で更新される条項があるのか
- 更新の意向を確認する時期:期間の終わりの何日前・何か月前に、双方が意向を伝えるか
- 途中解約の予告期間:どちらからでも解約できるか、何日前の予告が必要か
- 基本契約の期間:基本契約と個別契約で期間が別に決められていないか
自動更新の条項があるとき
「期間満了の◯日前までにどちらからも申し出がなければ、同じ条件で更新する」という条項がある契約もあります。手続の手間は減りますが、条件の見直しを話し合わないまま更新が続きやすくなります。見直したい条件があれば、申し出の期限より前に伝える必要があります。
基本契約と個別契約で期間が違うとき
基本契約は1年や自動更新、個別契約は1か月や3か月、というように期間が別に決められていることがあります。フリーランス法の期間の考え方では、基本契約が1か月以上であれば、その基本契約にもとづく委託は禁止行為の規定の対象になるとされています。2つの契約の関係は基本契約と個別契約の記事で説明しています。
期間の希望の伝え方
契約期間は交渉で決められます。希望がある場合は、理由を添えて伝えると調整しやすくなります。
- 短くしたい場合:「初めての業界なので、初回は1か月で様子を見させてください」
- 長くしたい場合:「◯月までは他の予定を入れないので、3か月単位での契約を希望します」
- 終わりを決めたい場合:「◯月末で区切りたいので、その月までの期間で契約したいです」
発注側にも、予算の区切りやプロジェクトの工程による事情があります。希望がそのまま通らなくても、更新の意向確認の時期を早めてもらうなど、別の形で折り合えることがあります。
よくある質問
1か月更新の契約は不利ですか?
一概に不利とはいえません。合わない現場から離れやすく、条件を見直す機会も多いという面があります。一方で、毎月が更新の判断になるため、収入の見通しは立ちにくくなります。自分が安定と柔軟さのどちらを優先したいかで選ぶとよいでしょう。
契約期間の途中で、期間を延ばしたり縮めたりできますか?
双方が合意すれば変更できます。変更した場合は、新しい期間が書かれた個別契約や変更の合意書を受け取っておきます。期間を縮める話を発注側から一方的に持ちかけられた場合は、契約の解除にあたることがあるため、解約条項とフリーランス法の予告のルールを確かめてください。
更新のたびに契約書を結び直す必要がありますか?
契約によります。期間ごとに個別契約を結び直す形もあれば、自動更新の条項で続く形もあります。どちらの場合も、更新後の報酬や期間が書面やメールで示されているかを確かめておくと、あとで条件の食い違いが起きにくくなります。
参考にした公的情報・資料
- 特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律(e-Gov法令検索)
- 特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律の考え方(公正取引委員会・厚生労働省、令和8年10月1日改正)
- 2026年 フリーランス法特設サイト(公正取引委員会)
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