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フリーランス新法・下請法フリーランス新法で禁止される7つの行為|対象になる期間と具体例
公開 2026-10-29 監修:株式会社エージェントベスト
フリーランス新法第5条は、従業員を使う発注者(特定業務委託事業者)が、フリーランスに1か月以上の業務委託をした場合に、7つの行為をすることを禁じています。受領拒否、報酬の減額、返品、買いたたき、購入・利用の強制、不当な経済上の利益の提供要請、不当な給付内容の変更・やり直しです。
1か月の期間は契約の更新を含めて数えます。また、準委任のような役務の提供の委託では、受領拒否と返品の2つはかかりません。2026年10月時点の条文と公正取引委員会のQ&Aをもとに、対象と具体例を整理します。
禁止行為がかかる取引の条件
発注者は「従業員を使う事業者」
第5条の対象は特定業務委託事業者、つまり従業員を使用する個人や、役員が2人以上いるか従業員を使用する法人です。従業員のいないフリーランス同士の取引にはかかりません。
期間は「1か月以上」。更新も通算する
条文は、政令で定める期間以上の業務委託(更新によってその期間以上続くものを含む)に限って禁止行為を定めており、公正取引委員会のQ&Aでは、この期間を1か月としています。数え方はQ&Aで次のように示されています。
| 項目 | 考え方 |
|---|---|
| 始期 | 契約の締結日。基本契約があればその締結日のうち早い日 |
| 終期 | 給付を受け取る期日、契約の終了日、基本契約の終了日のうち遅い日 |
| 初日 | 算入する |
| 納品が遅れた場合 | 明示された受領期日を終期とするので、期間は変わらない |
| 更新 | 当事者が同じで給付内容に一定の同一性があり、前後の契約の空白期間が1か月未満なら通算する |
法人は法人単位で判断するため、グループ会社どうしは同じ当事者にはなりません。1か月未満の単発の仕事でも、取引条件の明示(第3条)や報酬の支払期日(第4条)のルールはかかります(60日ルールの記事)。
準委任(役務の提供)では2つが外れる
条文は、役務の提供の委託(第2条第3項第2号)をした場合、受領拒否と返品は禁止行為から除くとしています。システム開発の常駐支援やPMO支援のような準委任型の仕事は、多くが役務の提供の委託にあたります。一方、プログラムや設計書などを作って納めるものは情報成果物の作成の委託です。自分の契約がどちらか分からないときは準委任と請負の違いも参考にしてください。
7つの禁止行為と具体例
| 禁止行為 | 内容 | 役務の提供の委託 |
|---|---|---|
| 1. 受領拒否 | フリーランスに責任がないのに、給付の受け取りを拒む | 対象外 |
| 2. 報酬の減額 | フリーランスに責任がないのに、決めた報酬を減らす | 対象 |
| 3. 返品 | フリーランスに責任がないのに、受け取った物を引き取らせる | 対象外 |
| 4. 買いたたき | 同種・類似の給付に通常支払われる対価より著しく低い報酬を不当に定める | 対象 |
| 5. 購入・利用の強制 | 正当な理由なく、指定する物を買わせたり役務を利用させたりする | 対象 |
| 6. 不当な経済上の利益の提供要請 | 自己のために金銭や役務などを提供させ、フリーランスの利益を不当に害する | 対象 |
| 7. 不当な給付内容の変更・やり直し | フリーランスに責任がないのに、内容を変えさせたり、受領後にやり直させたりして利益を不当に害する | 対象 |
1〜5は行為そのものが禁止され、6と7は「フリーランスの利益を不当に害する」場合に禁止される、という書き分けになっています。
1. 受領拒否
発注を取り消したり、納期を延ばしたりして受け取らない場合も含まれます。Q&Aでは、正式な発注前にフリーランスが見込みで作ったものは、直ちに問題になるわけではないとしています。ただし、口頭で作業を指示して作らせていたなら、実質的に業務委託をしていたとして問題になり得ます。
2. 報酬の減額
名目や金額の大小を問いません。Q&Aで示されている主な考え方は次のとおりです。
- 2026年1月1日以降の委託では、振込手数料を報酬から差し引くことは、合意の有無にかかわらず減額にあたる(フリーランスの都合で振込先を変えたことで増えた手数料分を除く)
- 計算の途中で端数を切り捨て、合計で1円以上減る場合は減額にあたる。最終的な合計額の1円未満の端数処理は問題ない
- すでに決めた報酬を、後から変えた算定方法で計算し直して減らすのは減額。将来の取引について算定方法を変えること自体は減額ではないが、下げ幅によっては買いたたきのおそれがある
3. 返品
受け取ったあとに、フリーランスに責任がないのに引き取らせることです。Q&Aでは、発注者が受入検査をせず、書面などで検査をフリーランスに任せている場合に限り、一定期間内の返品が認められる余地があるとしています。
4. 買いたたき
Q&Aでは、必要な経費を報酬に反映するよう求められたのに十分に協議せず、通常の対価を大幅に下回る額を一方的に決めると問題になり得るとしています。成果物の著作権などの扱いを一方的に決め、その対価を通常より低くすることも、買いたたきのおそれがあるとされています。著作権の扱いは成果物の著作権の記事をご覧ください。
5. 購入・利用の強制
物だけでなく、保険、リース、インターネット回線などのサービスも含みます。発注者の関係会社や取引先の商品・サービスも対象になり得ます。
6. 不当な経済上の利益の提供要請
Q&Aでは協賛金のような金銭の提供が例に挙げられています。条文は「金銭、役務その他の経済上の利益」としており、金銭だけでなく作業などの役務を提供させることも含まれます。Q&Aでは、フリーランスが持つ権利を対価なく二次利用することも、この類型として問題になり得るとしています。
7. 不当な給付内容の変更・やり直し
フリーランスに責任がないのに、仕様を変えさせたり、受領後にやり直しをさせたりして、その費用を負担しない場合です。一方、受領前の確認で委託内容に合っていないと合理的に判断できる場合に、フリーランスの負担で直してもらうことは問題ないとされています。役務の提供の委託で一方的に発注を取り消し、かかった費用を負担しないことも、この類型で問題になり得ます。
「合意したから大丈夫」とは限らない
7つの禁止行為は、フリーランスが了承していても違反になり得ます。振込手数料の差し引きがその代表で、2026年1月1日以降の委託では、合意の有無にかかわらず減額にあたるとされています。発注者から「了承をもらっている」と言われても、それだけで違反でなくなるわけではありません。
逆に、フリーランスの側に責任がある場合(納期遅れや、委託内容と合わない納品など)は、減額ややり直しが直ちに禁止行為になるわけではありません。どちらに責任があるかは、明示された取引条件と、受領・検収の基準で判断されます。検収の考え方は検収の記事にまとめています。
違反と思われるときの動き方
- 記録をそろえる:取引条件の明示(発注書・メール・チャット)、納品や稼働の記録、減額や追加依頼のやり取り
- 発注者に確認する:どの条件に基づく減額・やり直しなのかを、記録に残る形で尋ねる
- 外部に相談する:第5条の違反は、公正取引委員会または中小企業庁に申し出て、適当な措置を求めることができます(第6条)。申出を理由とした取引の削減や停止などの不利益な扱いは禁止されています
公正取引委員会は、違反と認めるときは、減らした額を支払うことなどを勧告できます(第8条)。相談先の選び方は取引トラブルの相談先の記事をご覧ください。個別の行為が禁止行為にあたるかは事情によって変わるため、判断に迷うときは弁護士や相談窓口にご相談ください。
発注者の規模によっては、取適法(旧下請法)の禁止事項も同時に問題になります。取適法には、フリーランス新法にない「協議に応じない一方的な代金決定の禁止」などがあります(取適法の記事)。
よくある質問
2週間の単発の仕事でも禁止行為のルールは適用されますか?
更新の見込みがなく1か月未満で終わる業務委託には、第5条の禁止行為の規定はかかりません。ただし、取引条件の明示や60日以内の支払期日のルールは適用されます。同じ発注者と空白1か月未満で似た内容の契約が続き、通算1か月以上になる場合は対象に入ります。
準委任の契約で、作業の途中で契約を打ち切られた場合はどうなりますか?
役務の提供の委託には受領拒否の規定はかかりません。ただし、Q&Aでは、フリーランスに責任がないのに一方的に取り消し、かかった費用を負担しない場合は、不当な給付内容の変更として問題になり得るとしています。6か月以上の契約なら、30日前予告のルールもあわせて確認してください。
報酬の単価を下げたいと言われたら、すべて違反になりますか?
これから行う取引について単価を話し合って変えること自体は、直ちに違反ではありません。すでに決めた報酬を後から減らすことが減額にあたります。ただし、通常の対価より著しく低い額を一方的に決めると、買いたたきにあたるおそれがあります。
参考にした公的情報・資料
記事の内容は公開日時点の情報にもとづきます。制度や税率は変わることがあるため、手続きの前に必ず各機関の最新情報をご確認ください。