法人税・法人住民税・法人事業税の仕組み|一人会社にかかる税金と税率の目安
公開 2026-10-29 監修:株式会社エージェントベスト
法人の利益(所得)には、国の税金として法人税と地方法人税、地方の税金として法人住民税と法人事業税(あわせて特別法人事業税)がかかります。法人税は、資本金1億円以下の普通法人なら、所得のうち年800万円以下の部分が15%、超える部分が23.2%です(国税庁、令和8年4月1日現在法令等)。
このうち法人住民税の均等割は、所得ではなく資本金等の額と従業者数で決まる定額のため、赤字の年もかかります。さらに2026年4月1日以後に始まる事業年度からは、防衛特別法人税の申告も加わりました。税目ごとに「何に」「どの税率で」かかるかを分けて押さえると、法人化後の税金の見通しが立てやすくなります(2026年10月時点)。
一人会社にかかる税金の全体像
一人で運営する会社でも、利益にかかる税金は次のように分かれます。
| 税目 | 国・地方 | 何をもとに計算するか |
|---|---|---|
| 法人税 | 国 | 事業年度の所得 |
| 地方法人税 | 国 | 法人税の額 |
| 防衛特別法人税 | 国 | 法人税の額から年500万円を引いた額 |
| 法人住民税(法人税割) | 都道府県・市町村 | 法人税の額 |
| 法人住民税(均等割) | 都道府県・市町村 | 資本金等の額と従業者数(定額) |
| 法人事業税(所得割) | 都道府県 | 事業年度の所得 |
| 特別法人事業税 | 国(都道府県に申告) | 法人事業税の所得割の額 |
このほか、消費税の課税事業者なら消費税がかかり、役員報酬を払えば源泉所得税を預かって納めます。消費税は消費税の納税の記事、源泉徴収は法人化後の源泉徴収と年末調整の記事で扱います。この記事では、会社の利益にかかる税金に絞って説明します。
法人税:所得の800万円を境に税率が変わる
法人税は、事業年度の所得に税率をかけて計算します。所得は、売上などの収益から、経費や役員報酬などの損金を差し引いたものです。国税庁の税率表(令和8年4月1日現在法令等)では、資本金1億円以下の普通法人の税率は次のとおりです。
| 所得の区分 | 税率(令和7年4月1日以後に開始する事業年度) |
|---|---|
| 年800万円以下の部分 | 15% |
| 年800万円を超える部分 | 23.2% |
同じ税率表には、所得金額が年10億円を超える事業年度は年800万円以下の部分も17%になること、大法人に完全に支配されている法人など一部の法人は軽減税率の対象外であることも書かれています。一人で作った会社が軽減税率の対象外になる場面は多くありませんが、親会社がある場合などは確かめておきましょう。
個人の所得税は所得が増えるほど税率が上がる累進課税で、法人税は2段階です。この違いが法人化を考える理由の一つになりますが、役員報酬にかかる個人の税金や社会保険料も合わせて比べる必要があります。比べ方は法人化のメリットとデメリットの記事、役員報酬の決め方は役員報酬の記事で解説しています。
法人税の額にかかる地方法人税と防衛特別法人税
地方法人税
地方法人税は、法人税を納める法人にかかる国税で、法人税の額をもとに計算します。国税庁の案内では、令和元年10月1日以後に始まる課税事業年度の税率は10.3%です。申告書は法人税の申告書と一体の様式になっています。
防衛特別法人税
国税庁の案内によると、令和7年の税制改正で防衛特別法人税が創設されました。令和8年(2026年)4月1日以後に始まる事業年度から、法人税を課される法人は納税義務者になります。
税額は、一定の税額控除を適用しないで計算した法人税の額から年500万円を控除し、残った額に4%をかけて計算します。法人税の額が年500万円以下なら、税額は0円です。
一人会社の多くは、法人税の額が500万円に届かず税額は0円になると考えられます。ただし、税額が0円でも申告は必要とされています。申告書は法人税・地方法人税と一体の様式ですが、国税庁は、別表一などでは防衛特別法人税の記載欄が別の用紙になるため、提出を忘れないよう注意を呼びかけています。
法人住民税:均等割と法人税割
法人住民税は、事務所や事業所がある都道府県と市町村にかかる税金です。総務省の案内では、資本金等の額と従業者数に応じた定額の均等割と、法人税の額に応じてかかる法人税割の2つでできています。
均等割は赤字でもかかる定額
均等割の額は自治体の条例で決まり、資本金等の額と従業者数で区分されます。たとえば埼玉県の法人県民税は、資本金等の額が1千万円以下なら年2万円です。堺市の法人市民税は、資本金等の額が1千万円以下で従業者数が50人以下なら年5万円です(いずれも2026年4月1日掲載の各自治体のページ)。
| 区分の例 | 均等割(年額) |
|---|---|
| 埼玉県(資本金等の額1千万円以下) | 2万円 |
| 堺市(資本金等の額1千万円以下・従業者数50人以下) | 5万円 |
自治体によっては独自の上乗せがあるほか、政令指定都市では区ごとに扱いが分かれることもあります。均等割は所得に関係なくかかるため、利益が出ない年でも毎年の負担として残ります。自分の会社の額は、事務所のある都道府県と市町村のページで確かめてください。
法人税割は法人税の額に税率をかける
法人税割は、法人税の額に自治体ごとの税率をかけて計算します。令和元年10月1日以後に始まる事業年度について、たとえば次のような税率が示されています。
| 自治体 | 法人税割の税率 |
|---|---|
| 埼玉県 | 原則1.8%。資本金等の額1億円以下かつ法人税額1,000万円以下なら1.0% |
| 堺市 | 資本金等の額1億円以下などの法人は6.0%、それ以外は8.4% |
| 東京都(23区内) | 都と区の分をあわせて、不均一課税適用法人は7.0%、それ以外は10.4% |
東京23区内に事務所がある会社は、都道府県分と市町村分をあわせて東京都に申告します。どの税率が当てはまるかは、資本金や法人税の額の条件で変わります。
法人事業税と特別法人事業税
資本金1億円以下なら所得割だけ
法人事業税は、事業を行う法人に都道府県がかける税金です。総務省の案内では、資本金1億円を超える普通法人には、所得割に加えて付加価値割と資本割がかかります(外形標準課税)。資本金1億円以下の普通法人などは、所得割のみです。
東京都主税局のページでは、資本金1億円以下の普通法人(軽減税率適用法人)の所得割の税率は、令和4年4月1日以後に始まる事業年度について次のとおりです。
| 所得の区分 | 標準税率 | 超過税率 |
|---|---|---|
| 年400万円以下の部分 | 3.5% | 3.75% |
| 年400万円超800万円以下の部分 | 5.3% | 5.665% |
| 年800万円を超える部分 | 7.0% | 7.48% |
標準税率と超過税率のどちらが当てはまるかは、都道府県の条例と法人の規模によって変わります。
特別法人事業税は事業税と一緒に納める
特別法人事業税は国の税金ですが、法人事業税と同じ申告書・納付書で都道府県に申告して納めます。東京都主税局の案内では、普通法人の場合、標準税率で計算した法人事業税の所得割の額(基準法人所得割額)に37%をかけて計算します。
個人事業主の事業税は、所得から事業主控除290万円を引いて計算しました。法人の事業税にはこの控除がなく、所得の最初の部分から税率がかかります。個人の事業税の仕組みは個人事業税の記事をご覧ください。
仮の数字で全体の大きさをつかむ
次の条件で、各税目がどのくらいになるかを大まかに計算してみます。あくまでイメージをつかむための仮の数字で、端数処理や税額控除は省いています。
- 資本金100万円、従業者は役員1人、所得(役員報酬を払った後の利益)400万円
- 法人住民税の法人税割は合計7.0%、均等割は合計7万円(都道府県分2万円+市町村分5万円)と仮定
- 法人事業税は標準税率
| 税目 | 計算 | 金額 |
|---|---|---|
| 法人税 | 400万円×15% | 60万円 |
| 地方法人税 | 60万円×10.3% | 6万1,800円 |
| 防衛特別法人税 | 法人税60万円が500万円以下 | 0円(申告は必要) |
| 法人住民税(法人税割) | 60万円×7.0% | 4万2,000円 |
| 法人住民税(均等割) | 定額 | 7万円 |
| 法人事業税 | 400万円×3.5% | 14万円 |
| 特別法人事業税 | 14万円×37% | 5万1,800円 |
| 合計 | 96万5,600円 |
所得がゼロなら、この表で残るのは均等割の7万円だけです。逆に所得が増えると、法人税は800万円、法人事業税は400万円と800万円を境に、税率が上がります。役員報酬の額を変えると所得が動くため、税金の合計も変わります。実際の税額は、事務所のある自治体の税率や控除で変わるため、税理士にご確認ください。
申告と納付の時期
ここまでの税金は、原則として事業年度が終わった日の翌日から2か月以内に、まとめて申告・納付します。法人税・地方法人税・防衛特別法人税は税務署へ、法人住民税・法人事業税・特別法人事業税は都道府県と市町村へ出します。
前の事業年度の法人税額が一定以上あると、事業年度の途中で中間申告も必要になります。期末からの段取りと、中間申告の条件は法人の決算と申告の流れの記事で整理しています。
個人事業のときと考え方が変わる点
法人化すると、税金の考え方が次のように変わります。
- 利益の置き場所を選べる:役員報酬として個人に渡す部分と、会社に残す部分に分かれ、それぞれに別の税金がかかる
- 最低限の負担がある:均等割は赤字でもかかる。個人の住民税のように、所得が少ない年に小さくなるわけではない
- 申告先が増える:税務署に加え、都道府県と市町村にも申告書を出す
- 事業年度ごとに締める:暦年ではなく、定款で決めた事業年度で計算する
法人化の時期そのものの考え方は法人化のタイミングの記事にまとめています。
よくある質問
赤字の年は、どの税金がかかりますか?
所得がなければ、法人税・地方法人税・法人税割・法人事業税の所得割は基本的にかかりません。一方で、法人住民税の均等割は資本金等の額と従業者数で決まる定額のため、赤字でもかかります。申告書は赤字の年も出します。
個人事業も続けながら会社を持つと、事業税は両方かかりますか?
個人事業の事業税と、会社の法人事業税は別々に計算されます。個人事業が法定業種にあたり事業主控除を超える所得があれば個人の事業税が、会社に所得があれば法人事業税がかかります。事業の切り分け方によって扱いが変わるため、税理士にご相談ください。
自宅を本店にしている場合、住民税はどの自治体に納めますか?
法人住民税は、事務所や事業所がある都道府県と市町村に納めます。自宅を本店にしていれば、その所在地の自治体です。本店を移したり、別の場所に事務所を置いたりしたときは、届出や均等割の計算が変わることがあるため、都道府県税事務所や市町村の窓口でご確認ください。
参考にした公的情報・資料
- No.5759 法人税の税率(国税庁)
- 地方法人税の税率の改正(国税庁)
- 防衛特別法人税が創設されました(国税庁)
- 法人住民税・法人事業税(総務省)
- 法人事業税・法人都民税(東京都主税局)
- 特別法人事業税(東京都主税局)
- 法人県民税(埼玉県)
- 法人市民税の概要(堺市)
記事の内容は公開日時点の情報にもとづきます。制度や税率は変わることがあるため、手続きの前に必ず各機関の最新情報をご確認ください。