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確定申告・所得税

所得税の計算の流れ|フリーランスの売上から税額までを順番に

公開 2026-10-29 監修:株式会社エージェントベスト

フリーランスの所得税は、次の順番で計算します。売上から経費を引き、青色申告なら青色申告特別控除も引いて「所得」を出します。そこから基礎控除や社会保険料控除などの「所得控除」を引いた「課税所得」に、5%から45%の税率を掛けます。最後に復興特別所得税(基準所得税額の2.1%)を加え、報酬から源泉徴収された税額や予定納税額を差し引いた残りが、確定申告で納める額です。

税率は所得全体に一律に掛かるのではなく、所得が増えた部分にだけ高い税率が掛かる仕組みです。この記事では、国税庁の速算表と令和8年分の基礎控除をもとに、計算の流れを順番に整理します(2026年10月時点。国税庁のタックスアンサーは令和8年4月1日現在の法令)。

計算の全体像

段階計算使う書類・数字
1. 事業所得売上 − 必要経費 − 青色申告特別控除帳簿、決算書
2. 総所得金額事業所得 + ほかの所得(給与など)源泉徴収票など
3. 課税所得総所得金額 − 所得控除の合計(1,000円未満切捨て)控除証明書
4. 所得税額課税所得 × 税率 − 控除額(速算表)速算表
5. 基準所得税額所得税額 − 税額控除住宅ローン控除など
6. 復興特別所得税基準所得税額 × 2.1%
7. 納める額5 + 6 − 源泉徴収税額 − 予定納税額支払調書、請求書

確定申告の日程や準備の全体は確定申告の流れで解説しています。ここでは、税額がどう決まるかに絞って見ていきます。

1. 売上から所得を出す

必要経費を引く

国税庁は、必要経費を「収入を得るために直接要した費用」と「その年に生じた販売費、一般管理費その他業務上の費用」と説明しています。その年の12月31日までに債務が確定したものが、その年の経費です。何が経費になるかは経費の記事にまとめています。

青色申告特別控除を引く

青色申告の承認を受けていれば、条件に応じて最高65万円(令和8年分まで)の青色申告特別控除を引けます。経費とは別に引くもので、この控除の後の金額が事業所得になります。条件と令和9年分からの変更は青色申告の記事をご覧ください。

会社員の副業から独立した年など、給与所得もある年は、給与所得と事業所得を合計します。

2. 所得控除を引いて課税所得を出す

所得控除は、税負担を個人の事情に合わせて調整するためのものです。国税庁が挙げる所得控除は、雑損控除、医療費控除、社会保険料控除、小規模企業共済等掛金控除、生命保険料控除、地震保険料控除、寄附金控除、障害者控除、寡婦控除、ひとり親控除、勤労学生控除、配偶者控除、配偶者特別控除、扶養控除、特定親族特別控除、基礎控除です。

フリーランスが関係しやすいのは次の控除です。

令和8年分の基礎控除

基礎控除は、令和8年度税制改正で引き上げられました。国税庁によると、令和8年分の改正規定は2026年12月1日に施行され、令和8年分の所得税から適用されます。令和8年分・令和9年分の金額は次のとおりです。

合計所得金額令和8年分・令和9年分の基礎控除
489万円以下104万円
489万円超655万円以下67万円
655万円超2,350万円以下62万円
2,350万円超2,400万円以下48万円
2,400万円超2,450万円以下32万円
2,450万円超2,500万円以下16万円
2,500万円超0円

令和10年分以後は、132万円以下が99万円、132万円超2,350万円以下が62万円などに変わります。合計所得金額は、青色申告特別控除を引いた後の所得で判定します。基礎控除の額は年分と所得の区分で細かく分かれるため、自分の金額は国税庁の「No.1199 基礎控除」で必ずご確認ください。

所得から所得控除の合計を引いた金額が課税所得です。1,000円未満の端数は切り捨てます。

3. 速算表で所得税額を出す

国税庁の「所得税の速算表」(平成27年分以後)は次のとおりです。

課税所得税率控除額
1,000円〜194万9,000円5%0円
195万円〜329万9,000円10%9万7,500円
330万円〜694万9,000円20%42万7,500円
695万円〜899万9,000円23%63万6,000円
900万円〜1,799万9,000円33%153万6,000円
1,800万円〜3,999万9,000円40%279万6,000円
4,000万円以上45%479万6,000円

所得税額 = 課税所得 × 税率 − 控除額

控除額は、税率の区分ごとに段階的に掛けた結果と同じになるように調整された数字です。たとえば課税所得が330万円を超えたからといって、所得全体に20%が掛かるわけではありません。195万円までは5%、195万円から330万円までは10%、330万円を超えた部分だけに20%が掛かる計算を、速算表で一度に済ませています。

4. 税額控除と復興特別所得税

速算表で出した所得税額から、住宅借入金等特別控除(住宅ローン控除)などの税額控除を引いたものが基準所得税額です。

国税庁によると、平成25年から令和29年までの各年分は、所得税とあわせて復興特別所得税を申告・納付します。令和8年分の税率は、原則として基準所得税額の2.1%です。なお、令和8年度税制改正で、令和9年以後は防衛特別所得税が創設され、復興特別所得税の税率の引下げと課税期間の延長が行われます。国税庁は、改正の前後で2つを合わせた税率に変更はないとしています。

5. 源泉徴収税額と予定納税額を差し引く

所得税と復興特別所得税の合計から、すでに払っている税金を差し引きます。

差し引いた結果がプラスなら納め、マイナスなら還付されます。

計算の例(仮の数字)

令和8年分で、青色申告の65万円控除を受けるフリーランスを例にします(数字は説明のための仮のものです)。

  1. 売上900万円 − 経費150万円 − 青色申告特別控除65万円 = 事業所得685万円
  2. 合計所得金額685万円なので、基礎控除は62万円
  3. 社会保険料控除100万円 + 基礎控除62万円 = 所得控除162万円
  4. 課税所得 = 685万円 − 162万円 = 523万円
  5. 所得税額 = 523万円 × 20% − 42万7,500円 = 61万8,500円
  6. 復興特別所得税 = 61万8,500円 × 2.1% = 約1万3,000円

この例では、所得税と復興特別所得税の合計は約63万円です。ここから源泉徴収税額と予定納税額を差し引いた額を納めます。社会保険料控除やほかの控除の額が変われば、課税所得も税率の区分も変わります。

所得税を下げる方法はどこに効くか

計算の流れのどこに効くかで、効果が変わります。

方法効く段階効果の目安
経費を漏れなく計上する1. 事業所得経費の額 × 税率(住民税・事業税なども下がる)
青色申告特別控除を受ける1. 事業所得控除額 × 税率
iDeCo・小規模企業共済に加入する2. 所得控除掛金 × 税率(住民税も下がる)
医療費控除・寄附金控除を受ける2. 所得控除控除額 × 税率
住宅ローン控除を受ける4. 税額控除控除額がそのまま税額から引かれる

所得控除は「控除額×税率」の分だけ税金が減るため、税率の高い人ほど効果が大きくなります。共済の仕組みは小規模企業共済の記事やiDeCoの記事で解説しています。

自分の所得の区分や控除の判断に迷う場合は、税理士・税務署にご相談ください。

よくある質問

課税所得が330万円を少し超えたら、税金が大きく増えますか?

増えるのは、330万円を超えた部分にかかる税金だけです。所得税は超過累進税率なので、330万円を超えた部分だけに20%が掛かり、それ以下の部分の税率は変わりません。区分の境目を少し超えただけで、手取りが大きく減ることはありません。

売上が同じでも、年によって所得税が違うのはなぜですか?

経費の額、青色申告特別控除の額、社会保険料控除などの所得控除の額が年によって変わるためです。令和8年分は基礎控除の改正もあります。国民健康保険料は前年の所得をもとに決まるため、前年の所得が多かった年は保険料が増え、社会保険料控除も大きくなります。

所得税の計算は自分でしなければいけませんか?

国税庁の確定申告書等作成コーナーや会計ソフトを使えば、金額を入力するだけで税額は自動で計算されます。ただし、入力する売上・経費・控除の額が正しいかどうかは自分で確かめる必要があります。計算の流れを知っておくと、入力の誤りに気づきやすくなります。

参考にした公的情報・資料

記事の内容は公開日時点の情報にもとづきます。制度や税率は変わることがあるため、手続きの前に必ず各機関の最新情報をご確認ください。

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