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正社員との比較・転職

フリーランスと正社員の手取りの違い|比べるときに差し引くものと考え方

公開 2026-10-29 監修:株式会社エージェントベスト

正社員の手取りは、額面の給与から社会保険料・所得税・住民税が天引きされた残りです。フリーランスの手取りは、売上から経費を引き、国民健康保険料・国民年金保険料・所得税・住民税などを自分で払った残りです。同じ「年収◯万円」でも、引かれるものの中身と、引かれる時期が違います。

比べるときは、①所得を出すときの控除の仕組み、②社会保険料を誰がどれだけ負担しているか、③お金が出ていく時期、の3点をそろえることが大切です。この記事では、2026年10月時点の制度にもとづいて、手取りの考え方を整理します。月額単価から年間の売上を見積もる手順は月額単価の換算の記事で扱っています。

手取りが決まるまでの流れを並べる

段階正社員フリーランス
入ってくるお金給与・賞与(額面)報酬(売上)
所得を出すときに引くもの給与所得控除(法律で決まった額)実際にかかった経費、青色申告特別控除
社会保険健康保険・厚生年金・雇用保険。会社と分けて負担国民健康保険・国民年金。全額を自分で負担
税金所得税・住民税(給与から天引き)所得税・住民税、対象なら個人事業税、インボイス登録をしていれば消費税
払い方毎月の給与から天引きされ、年末調整で精算確定申告をして、自分で納める

どちらも、所得税と住民税は所得から各種の所得控除を引いた額にかかります。違いが出るのは、そこに至るまでの引き方と、社会保険の仕組みです。

違い1:所得を出すときの控除の仕組み

正社員は給与所得控除

正社員の給与所得は、給与の収入金額から給与所得控除額を引いて求めます。国税庁の案内では、たとえば収入金額が360万円超660万円以下の部分は「収入金額×20%+44万円」が控除額で、上限は195万円です(令和7年分の表。令和8年分以降は最低額が74万円に引き上げられる改正があります)。

仮に額面年収600万円なら、給与所得控除は600万円×20%+44万円=164万円、給与所得は436万円です。実際にかかった費用ではなく、収入に応じた決まった額を引ける点が特徴です。

フリーランスは経費と青色申告特別控除

フリーランスの事業所得は、売上から実際にかかった経費を引いて求めます。青色申告をして要件を満たせば、さらに青色申告特別控除(最大65万円、要件によって55万円・10万円)を引けます(国税庁)。

経費は自分で記録して計上する必要があり、記帳と申告の手間がかかります。その一方で、仕事に必要な機器や通信費などを実費で引けます。経費の範囲は経費にできるものの記事、青色申告は青色申告の記事で解説しています。

違い2:社会保険料を誰が負担しているか

正社員は会社と保険料を分けて負担

厚生年金保険の保険料は、標準報酬月額と標準賞与額に保険料率18.3%を掛けた額で、事業主と被保険者が半分ずつ負担します(日本年金機構)。協会けんぽの健康保険料率は都道府県ごとに決まり、令和8年度の全国平均は9.90%で、給与から引かれるのは労使折半後の本人負担額です。40〜64歳の人は介護保険料も加わります。

給与明細に載る保険料は本人負担分だけで、同じ額を会社も払っています。会社が負担している保険料は、正社員の「年収」には含まれていない点を覚えておきましょう。

フリーランスは全額を自分で負担

フリーランスは国民健康保険と国民年金に加入し、保険料を全額自分で払います。国民年金保険料は、令和8年度は月額17,920円で、所得に関係なく同じ額です(日本年金機構)。国民健康保険料は前年の所得と加入者の人数などで決まり、市区町村ごとに料率が違います。計算の手順は国民健康保険の記事、国民年金の記事をご覧ください。

保険料の額だけでなく、受け取れる給付も違う

会社員の厚生年金は、国民年金(基礎年金)に上乗せして老齢年金を受け取る仕組みです。健康保険には、病気やケガで休んだときの傷病手当金もあります。フリーランスの国民年金と国民健康保険には、これらにあたる給付が原則ありません。手取りの数字だけで比べると、この差は見えません。働けなくなったときの備えは所得補償保険の記事で整理しています。

違い3:お金が出ていく時期

手取りを比べるときに見落としやすいのが、払う時期の違いです。

フリーランスは、入金された額をそのまま手取りと考えると、翌年の納税の時期に資金が足りなくなることがあります。独立1年目は会社員時代の所得で住民税と国民健康保険料が決まるため、売上が少ない時期に高い支払いが重なることもあります。住民税の仕組みは住民税の記事をご覧ください。

独立1年目と2年目で手取りの見え方が変わる

住民税と国民健康保険料は、前年の所得をもとに計算されます。そのため、独立1年目は会社員時代の給与所得をもとにした住民税と国民健康保険料を払い、2年目はフリーランス1年目の事業所得をもとにした額を払うことになります。

1年目の売上が会社員時代より少なければ、1年目は負担が重く感じられ、2年目は軽くなることがあります。反対に、1年目の所得が会社員時代より大きければ、2年目に負担が増えます。また、前年の所得税の額によっては、2年目から所得税を前もって納める予定納税の通知が届くこともあります(予定納税の記事)。1年だけの手取りで判断せず、2〜3年の流れで見ておくと、実態に近い比較になります。

比べるときの手順

正社員とフリーランスの手取りを比べるときは、次の順で前提をそろえます。

  1. フリーランスの年間売上を見積もる:月額を12倍せず、案件のない期間や控除の見込みを差し引く
  2. 経費を差し引く:機器、通信費、交通費、書籍などの年間の見込み
  3. 社会保険料を差し引く:国民年金保険料(令和8年度は月17,920円)と、市区町村の試算による国民健康保険料
  4. 税金の見込みを差し引く:所得税・住民税、該当すれば個人事業税と消費税
  5. 正社員側と同じ基準で比べる:正社員の手取りは源泉徴収票や給与明細で確かめる。会社負担の保険料や有給休暇の分は、手取りには表れないことを踏まえる

この記事では税額の目安は示していません。税額は所得控除の内容、家族構成、住んでいる市区町村などで変わるため、具体的な数字は試算ツールや専門家の助言で確かめてください。

手取り以外に並べておきたいもの

正社員の年収に何が含まれ、何が含まれていないかを月額単価に直して比べる方法は、正社員の年収とフリーランスの単価の比べ方で解説しています。

よくある質問

同じ額面なら、フリーランスの方が手取りは少なくなりますか?

一概には言えません。フリーランスは社会保険料を全額自分で払う一方、経費や青色申告特別控除を差し引けます。売上・経費・家族構成・住んでいる市区町村によって結果が変わるため、同じ前提にそろえて試算することが大切です。具体的な税額は税理士などの専門家にご相談ください。

フリーランスの手取りは、毎月いくら使えると考えればよいですか?

入金額から、経費と、翌年に払う税金・保険料の見込み分を除いた額が目安です。住民税と国民健康保険料は前年の所得で決まるため、売上が増えた翌年は負担も増えます。年間の見込みを先に立て、毎月の取り分を決めておくと資金繰りが安定します。

正社員に戻ると手取りはどう変わりますか?

給与から社会保険料と税金が天引きされるため、口座に入る額は額面より少なくなります。一方で、会社が保険料の半分を負担し、経費の支払いや確定申告の手間が減ります。正社員に戻るときの考え方は正社員に戻るときの記事で解説しています。

参考にした公的情報・資料

記事の内容は公開日時点の情報にもとづきます。制度や税率は変わることがあるため、手続きの前に必ず各機関の最新情報をご確認ください。

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