ブロックチェーンエンジニアは正社員とフリーランスのどちらがよい?比べるときの観点
公開 2026-11-04 監修:株式会社エージェントベスト
ブロックチェーンエンジニアとして正社員とフリーランスのどちらがよいかは、人によって答えが変わります。比べるときは、収入の安定、社会保険、設計と鍵の権限・キャリア、働き方の4つの観点で並べると判断しやすくなります。
ブロックチェーンならではの違いは、フリーランスはチェーンや事業の種類が違う現場を重ねやすい一方、本番の鍵や公開の判断は発注側に残りやすく、事業の浮き沈みが契約に直結しやすい点です。どちらが上かではなく、何を積みたいかで選ぶのが現実的です。正社員とフリーランスの一般的な違いはフリーランスと正社員のどちらが向いているかで解説しているので、この記事ではブロックチェーンエンジニアの立場から見た違いに絞ります。
4つの観点の全体像
| 観点 | 正社員のブロックチェーンエンジニア | フリーランスのブロックチェーンエンジニア |
|---|---|---|
| 収入の安定 | 事業の方針が変わっても、雇用は続くことが多い | 事業の縮小や方針転換で契約が終わることがある |
| 社会保険 | 会社の健康保険・厚生年金に入り、保険料を会社と分けて負担する | 国民健康保険・国民年金などに自分で入り、全額を自分で払う |
| 権限とキャリア | 本番の鍵や公開の判断、技術の方針に関われることがある | 権限は契約と発注側の決めた範囲。違うチェーンや事業を経験できる |
| 働き方 | 社内の会議・評価・異動を含めて働く | 稼働日数・場所・期間を案件ごとに選べるが、条件は契約で決まる |
以下、それぞれを詳しく見ていきます。
観点1:収入の安定
正社員は、担当していたサービスが終わっても、別の部署やプロジェクトに移って給与が続くことが多くあります。フリーランスは、契約の区切りごとに次の案件を探す必要があります。
ブロックチェーンの案件で気をつけたいのは、事業そのものの浮き沈みが契約に響きやすいことです。Web3のサービスは、市場の動きや資金調達の状況で計画が大きく変わることがあり、開発の縮小とともに外部の人員から契約を終えることもあります。また、国内では暗号資産や電子決済手段をめぐる制度の見直しが続いており、金融庁の案内でも、2026年6月1日に電子決済手段・暗号資産サービス仲介業が新設されたことが示されています(2026年10月時点)。制度の変化は、事業者の計画にも影響します。
フリーランス法では、6か月以上続く業務委託を発注側が解除したり更新しなかったりする場合、原則として30日前までに予告することになっています(2026年10月時点、公正取引委員会の案内による)。考え方は契約を終える予告の記事で整理しています。それでも、次の案件までの空白をゼロにできるわけではありません。生活費の数か月分を手元に置き、契約終了の時期を見ながら次の案件の相談を早めに始めることが大切です。
手取りの比べ方はフリーランスと正社員の手取りの違いで整理しています。額面だけで比べないようにしてください。
観点2:社会保険
正社員は会社の健康保険と厚生年金に入り、保険料は会社と分けて負担します。フリーランスは国民健康保険と国民年金に自分で入り、保険料を全額自分で払います。制度の中身は国民健康保険の記事と国民年金の記事をご覧ください。
フリーランスは、働けない期間の収入を自分で備える必要があります。考え方は所得補償の記事で扱っています。なお、2024年11月1日から、フリーランスも労災保険の特別加入の対象になっています(厚生労働省の案内による)。加入の方法や対象は労災保険の特別加入の記事で確かめてください。
観点3:権限とキャリア
ブロックチェーンエンジニアにとって、ここがもっとも大きな違いです。
正社員は「本番の鍵と公開の判断」に関わりやすい
正社員は、本番の管理者権限を持つ鍵の扱い、コントラクトの公開や更新の判断、外部監査の発注など、取り返しのつかない操作に近い立場に置かれることがあります。サービスの立ち上げから、公開後の運用や更新まで見届けられるのも強みです。技術の方針を決める立場に進む道もあります。
フリーランスは「チェーンと事業の幅」を広げやすい
フリーランスは、公開型チェーンのスマートコントラクト、企業向けの分散台帳、コードの監査・レビュー、既存システムとの接続など、性格の違う現場を比較的短い間隔で経験できます。一方、本番の鍵や公開の最終判断は発注側に残るのが一般的で、操作の権限が限られた中で、設計やレビューで成果を出す働き方になります。
キャリアの面では、正社員のうちに「公開から運用、更新まで責任を持った経験」を一つ持っておくと、フリーランスになってからも語れる材料が増えます。逆に、フリーランスで複数のチェーンや事業を見た経験は、正社員に戻るときにも評価されることがあります。戻る場合の進め方はフリーランスから正社員に戻るで解説しています。
観点4:働き方
フリーランスは、稼働日数、リモートの割合、契約期間を案件ごとに選べます。ブロックチェーンの開発は、公開のリポジトリやチャットで議論を進める現場が多く、リモートと相性がよい案件もあります。傾向はブロックチェーンエンジニアのリモート案件の記事で整理しています。
ただ、暗号資産交換業者や企業の基幹に近い案件では、出社や専用の端末を求められることがあります。海外のチームと組む案件では、会議の時間帯が日本の夜や早朝になることもあります。働き方の自由度は「契約で何を取り決めたか」にかかっている、と考えておくのが実態に近いでしょう。
フリーランスは準委任契約で参画することが多く、発注側から細かな指揮命令を受けて働く関係ではありません。現場で社員と同じように扱われ、勤務時間や作業の手順まで指示される状態が続く場合は、契約の形と実態がずれていないかを確かめてください。
責任の持ち方も変わる
正社員は、事故や障害の結果が人事の評価に結び付きます。フリーランスは、結果が契約の更新や次の案件に結び付きます。加えて、資産を扱う仕組みでは、不具合が損害の話に発展することもあります。損害賠償の上限や範囲が契約にどう書かれているかは、フリーランスのほうがより自分で確かめる必要があります。考え方は損害賠償責任の記事をご覧ください。
自分に合う方を確かめる方法
いきなり決めるのではなく、次の順で確かめると判断を誤りにくくなります。
- 積みたい経験を書き出す:一つのサービスを公開から運用まで見届けたいのか、違うチェーンや事業を経験したいのかを言葉にする
- 今の会社で得られるものを確かめる:次に任されそうな開発や、本番の権限、技術の方針への関わり方を具体的に考える
- フリーランスの案件の中身を見る:自分の経験で入れる案件の型、稼働、契約期間を、案件紹介サービスで聞いてみる
- お金の備えを計算する:手取りの違いと、事業の縮小などで生じる空白期間に耐えられる貯蓄を見積もる
会社員のまま業務委託で働いて試す方法もあります。考え方は正社員と業務委託の掛け持ちで整理しています。就業規則で副業の扱いと、同じ分野の仕事を受ける場合の制限を必ずご確認ください。
よくある質問
ブロックチェーンの経験が浅いうちにフリーランスになっても大丈夫ですか?
入れる案件はありますが、任される範囲は周辺のバックエンドやテストの補助が中心になりやすく、チェーンの設計を担う経験を積むまで時間がかかることがあります。正社員のうちに公開や運用まで関わった経験を一つ持ってから独立するほうが、選べる案件は広がります。進め方はブロックチェーンエンジニアがフリーランスになるにはをご覧ください。
報酬を暗号資産で受け取る条件の案件は、正社員と比べて得ですか?
得かどうかは一概には言えません。受け取った時点の価値や、その後の値動き、税務の扱いが関わるため、手取りの比べ方が複雑になります。扱いはブロックチェーンエンジニアの報酬の記事で触れています。個別の判断は税理士にご相談ください。
フリーランスから正社員に戻ることはできますか?
戻ることはできます。採用の場では、案件で担った役割と成果、組織で働く理由がよく問われます。複数のチェーンや事業で設計やレビューを担った経験があれば、防いだリスクなど具体的な場面とあわせて伝えると評価につながりやすくなります。
参考にした公的情報・資料
記事の内容は公開日時点の情報にもとづきます。制度や税率は変わることがあるため、手続きの前に必ず各機関の最新情報をご確認ください。