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フリーランス新法・下請法

フリーランス法違反を申し出る方法|申出の準備・窓口と不利益な扱いの禁止

公開 2026-10-29 監修:株式会社エージェントベスト

発注者にフリーランス法(特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律)の違反があるときは、行政機関に申出をして、適当な措置をとるよう求めることができます。取引条件の明示や支払期日、禁止行為は公正取引委員会・中小企業庁(第6条)、ハラスメント対策や中途解除の予告などは厚生労働大臣(第17条)が受け付けます。申出は、3省庁共通のオンラインフォームか、郵送で行います。

発注者は、申出をしたことを理由に、取引の数量の削減、取引の停止その他の不利益な取扱いをしてはなりません(第6条第3項、第17条第3項で準用)。この記事では、申出の準備と書き方、申出のあとの流れ、不利益な扱いの禁止の中身を、2026年10月時点の法令と各省庁の案内をもとに整理します。相談先の全体の使い分けはトラブルの相談先の記事をご覧ください。

申出は「違反の事実」を知らせて措置を求める手続き

申出は、行政機関に法律違反の事実を知らせ、是正のための措置をとるよう求める手続きです。法律は、申出を受けた行政機関は必要な調査を行い、申出の内容が事実と認めるときは、この法律に基づく措置その他適当な措置をとらなければならないと定めています(第6条第2項、第17条第2項)。

申出の窓口は、違反の内容によって分かれます。

就業環境の整備についての申出は、発注者から業務委託を「受け、又は受けようとする」フリーランスができると定められています(第17条第1項)。契約前の募集の段階での違反も対象になり得るということです。

厚生労働省の案内では、申出の対象は2024年11月1日以降に締結・更新などをした業務委託契約とされています。それより前の契約で起きたことは、この法律の申出の対象になりません。

申出の前に整える3つの材料

1. 申出受付事前確認表で要件を確かめる

厚生労働省の申出ページは、申出の前に「申出受付事前確認表」で要件を確認するよう求めています。自分がフリーランス法の対象か、相手が義務を負う発注者か、問題の行為がどの義務に関わるかを順に確かめる資料です。

確認表の中で、自分が労働者にあたる可能性がある場合は、申出ではなく都道府県労働局への相談が案内されています。働き方が社員とほとんど変わらないと感じる場合は、労働者性の記事もあわせてご覧ください。

2. 証拠を集めて一覧にする

申出の内容が事実かどうかは、行政機関の調査で確かめられます。手元の記録が具体的なほど、何が問題なのかが伝わりやすくなります。

問題の内容そろえたい記録
条件が明示されない発注のメール・チャット、口頭で依頼された日時のメモ
報酬が期日に払われない条件の明示、納品・作業完了の記録、請求書、入金の記録
報酬を減らされた・やり直しを求められた最初に示された条件、減額やり直しの連絡、理由の説明
ハラスメント日時・場所・相手・内容のメモ、メッセージの保存
契約を予告なく切られた契約期間と更新の記録、解除の連絡、理由の開示を求めたやり取り

各義務の中身は、取引条件の明示、60日以内の支払、禁止行為、中途解除の予告の記事で確かめられます。

3. 起きたことを時系列にまとめる

日付、相手の担当者、何があったか、自分がどう対応したかを、1行ずつ時系列で書き出します。申出書を書くときの下書きになるほか、後で不利益な扱いを受けたときに「申出の前と後で何が変わったか」を示す材料にもなります。

申出書・フォームの書き方

オンラインの場合は、厚生労働省の申出受付フォームに入力します。フォームは3省庁共通で、入力した内容は担当の機関に届きます。郵送の場合は申出書に記入し、管轄の事務所などに送ります。紙の申出書は、担当の機関が違うと受け付けられず返されることがあるため、取引の適正化か就業環境の整備かを確かめてから送りましょう。記入要領と記入例も公開されています。

書くときは、次の点を押さえると内容が伝わりやすくなります。

  1. 相手方:契約の相手の名称、所在地、担当部署
  2. 取引の内容:何の業務を、いつから、どのような条件で受けたか
  3. 違反と思われる事実:いつ、何が起きたか。時系列で具体的に
  4. 関係する義務:条件の明示、支払期日、減額など、どの決まりに関わると考えるか
  5. 手元の証拠:どの記録があるか

厚生労働省の案内では、フォームに入力されていない内容(ファイル転送サービスの共有ファイルやリンク先の内容など)は確認できず、再入力を求められることがあるとされています。大事な事実は、リンクで済ませずに本文に書き込みます。

申出のあとに起きること

行政機関は、必要に応じて発注者に報告を求めたり、立入検査をしたりして調べます(第11条、第20条)。違反が認められた場合の主な流れは次のとおりです。

段階取引の適正化(公正取引委員会)就業環境の整備(厚生労働大臣)
指導・助言必要に応じて行われる(第22条)同左
勧告第8条第18条
命令・公表勧告に従わないとき、命令と公表ができる(第9条)勧告に従わないとき、命令と公表ができる(第19条第1項・第2項)
罰金命令違反は50万円以下(第24条)同左

ハラスメント対策(第14条)の勧告に従わない場合は、命令ではなく、その旨を公表できるという定めになっています(第19条第3項)。

一方で、厚生労働省と公正取引委員会の案内では、次のことは行わないとされています。

申出をしても、その結果が申出をした人に逐一知らされるわけではありません。未払いの報酬を回収したい、契約を続けたいといった目的があるなら、申出とは別に、話し合いや弁護士への依頼も考えておく必要があります。

申出を理由にした不利益な扱いは禁止されている

禁止の中身

第6条第3項は、業務委託事業者が、フリーランスが申出をしたことを理由として、取引の数量の削減、取引の停止その他の不利益な取扱いをしてはならないと定めています。公正取引委員会と厚生労働省の「考え方」は、これを「報復措置の禁止」と呼んでいます。就業環境の整備についての申出にも、同じ規定が準用されています(第17条第3項)。

条文に挙がっているのは取引の数量の削減と取引の停止ですが、「その他の不利益な取扱い」とあるとおり、これに限られません。申出をきっかけに、次のような扱いが行われた場合は問題になり得ます。

ハラスメントについては別に、相談したことや事実確認で事実を述べたことを理由とする契約の解除その他の不利益な取扱いも禁止されています(第14条第2項)。

不利益な扱いを受けたと感じたら

不利益な扱いの禁止に違反している場合も、勧告の対象になります(第8条第6項、第18条)。不利益な扱いを受けたと感じたら、それ自体を新たに申し出ることができます。

このとき大切なのは、申出をしたことと不利益な扱いの関係です。申出の日付、相手が申出を知ったと思われる時期、その前後で発注や態度がどう変わったかを、時系列のメモに書き足しておきます。6か月以上の継続的な業務委託であれば、解除や不更新には原則30日前の予告と、求めに応じた理由の開示も必要です。

よくある質問

申出をしたことは、相手の会社に伝わりますか?

各省庁の申出ページには、申出をした人の情報を相手方にどう扱うかについての具体的な記載は見当たりません。調査の内容によっては、相手が事情を推測できることもあり得ます。気になる場合は、申出の前に担当の窓口へ確認しましょう。匿名で相談したい段階なら、匿名でも相談できるフリーランス・トラブル110番を先に使う方法があります。

エージェント経由の案件では、誰についての違反を申し出ればよいですか?

フリーランス法の義務を負うのは、フリーランスに業務委託をした事業者、つまり契約の相手です。エージェント経由の案件では、多くの場合エージェントが契約の相手になります。ただし、ハラスメントのように客先の社員の言動が問題になる場面もあるため、事実関係をそのまま書き、どこが窓口になるかは申出先の判断を仰ぐのが現実的です。

申出のあと、契約を更新されませんでした。どうすればよいですか?

申出を理由にした不更新であれば、不利益な取扱いにあたる可能性があります。更新されなかった経緯と申出の時期を時系列にまとめ、あらためて申し出ることができます。6か月以上の継続的な契約なら、予告の有無や理由の開示も確かめます。理由が別にあると主張される場合もあるため、判断に迷うときは弁護士やフリーランス・トラブル110番にご相談ください。

参考にした公的情報・資料

記事の内容は公開日時点の情報にもとづきます。制度や税率は変わることがあるため、手続きの前に必ず各機関の最新情報をご確認ください。

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