税金と保険料の積み立て方|納付に困らないための年間の予定表と積立額の決め方
公開 2026-10-29 監修:株式会社エージェントベスト
税金と保険料の納付に困らないためには、1年分の納付予定を表にして必要な額を出し、報酬が入るたびに決まった額を納付用の口座へ移しておくのが基本です。積み立てる額は「売上の◯%」と人から聞いた数字で決めず、前年に実際に払った額か、今年の見込みの計算から自分で決めます。
フリーランスは、所得税・住民税・国民健康保険料などを自分で納めます。しかも納付の時期は年の中でばらつき、独立2年目には前年の所得をもとにした支払いが重なります。この記事では、納付の予定表の作り方と積立額の決め方、足りなくなりそうなときの動き方を整理します(2026年10月時点)。収入が途切れたときの生活費の備えは貯蓄の記事で、口座の分け方は事業用口座の記事で扱っています。
自分で納める税金と保険料の一覧
まず、自分が何を納めるのかを洗い出します。人によって対象にならないものもあります。
| 種類 | 対象になる人 | 納める時期の目安 |
|---|---|---|
| 所得税(確定申告分) | 所得があり確定申告をする人 | 3月15日まで |
| 所得税の予定納税 | 予定納税基準額が15万円以上の人 | 7月と11月 |
| 消費税 | 課税事業者 | 3月31日まで。前年の税額によって中間申告もある |
| 住民税 | 前年に所得があった人 | 市区町村の通知に書かれた納期 |
| 個人事業税 | 法定業種で一定の所得がある人 | 都道府県の通知に書かれた納期 |
| 国民健康保険料 | 国保に加入している人 | 市区町村の通知に書かれた納期 |
| 国民年金保険料 | 第1号被保険者 | 納付対象月の翌月末日 |
国税庁の案内では、予定納税は前年の申告納税額などから計算した予定納税基準額が15万円以上の人が対象で、6月15日までに通知が届き、第1期は7月1日〜31日、第2期は11月1日〜30日に、原則として基準額の3分の1ずつを納めます。仕組みは予定納税の記事で解説しています。
消費税の課税事業者は、直前の課税期間の確定消費税額が48万円を超えると中間申告が必要になり、額に応じて年1回・3回・11回と回数が増えます。計算の手順は消費税の納税の記事を、個人事業税の対象と計算は個人事業税の記事をご覧ください。
国民年金保険料は令和8年度が月17,920円で、日本年金機構の案内では、納付期限は納付対象月の翌月末日です。
1年分の納付予定表を作る
一覧ができたら、12か月のカレンダーに並べます。ポイントは、金額が分かっているものと、まだ分からないものを分けて書くことです。
- 通知が届いているものを書く:住民税・国民健康保険料・個人事業税は、通知書に納期ごとの額が書かれている
- 定額のものを書く:国民年金保険料
- 前年の申告から決まるものを書く:予定納税(通知の額)、消費税の中間申告
- まだ決まっていないものを見込みで書く:来年3月の所得税と消費税の確定分
住民税や国民健康保険料は、1年のうち通知が届く時期まで額が決まりません。通知が届いたら予定表を書き換えます。住民税の納期と計算は住民税の記事で、国民健康保険料の決まり方は国民健康保険の記事で整理しています。
独立した年と翌年で額が変わる
住民税や国民健康保険料は前年の所得をもとに計算されるため、独立した年は会社員のときの給与をもとにした額が届きます。翌年からは、フリーランスとしての所得をもとにした額に切り替わり、確定申告の納税や予定納税も加わります。独立1年目に払った額を、2年目の積立額の基準にしないことが大切です。
積み立てる額を決める2つの方法
方法1:前年に実際に払った額から決める
独立して2年以上たち、所得が大きく変わっていない人に向く方法です。前年の1年間に納めた税金と保険料の合計を出し、それを12か月で割った額を毎月積み立てます。ただし、報酬が上がった年や、課税事業者になった年は、翌年の負担が増えるため上乗せが要ります。
方法2:今年の所得の見込みから計算する
独立したばかりの人や、所得が大きく変わる年に向く方法です。
- 今年の売上の見込みから、経費を引いて所得を出す
- 所得控除を引いて、所得税と住民税の見込みを出す
- 国民健康保険料は、市区町村の料率や試算の仕組みで見込む
- 課税事業者は、消費税の見込みも出す
- 合計を、報酬が入る回数で割る
所得税の計算の流れは所得税の計算の記事で解説しています。
計算例(仮の数字)
流れを示すための仮の数字です。実際の税額や保険料は、所得・控除・住んでいる市区町村で大きく変わります。
- 今後12か月の納付予定の合計 … 仮に180万円
- 報酬の入金 … 毎月1回
- 毎月の積立額 … 180万円÷12=15万円
毎月の入金額が仮に80万円なら、入金のうち15万円を納付用の口座に移すことになります。割合にすると約19%ですが、この割合はこの仮の条件での結果にすぎません。自分の予定表から出した額を使ってください。
消費税は「預かったお金」として分けて考える
課税事業者の場合、報酬と一緒に受け取る消費税は、いずれ納める分を含んでいます。入金額をすべて自分の収入と考えると、申告の時期に資金が足りなくなります。消費税の分は、所得税などとは別に見込んでおくと把握しやすくなります。
積み立てを続ける仕組み
口座を分け、入金日に移す
納付用のお金は、生活費や事業の支払いに使う口座とは別にしておくと、残高を見ただけで足りているかが分かります。入金日に自動で振り替える設定にすると、毎月の判断が要りません。
納付の方法を決めておく
口座振替やクレジットカードなど、税金と保険料には複数の納め方があります。引き落としにしておけば、納付を忘れる心配は減ります。その分、引き落としの日に残高が足りているかを確かめる必要があります。納め方の違いは税金の納め方の記事で整理しています。国民年金保険料には前納の割引もあり、まとめて払うと一時的に出ていく額が大きくなるため、予定表に入れて判断します。仕組みは国民年金の記事をご覧ください。
年に一度、精算して見直す
確定申告が終わったら、1年分の積立額と実際に払った額を比べます。余った分は翌年の積立の一部に回し、足りなかった場合は翌年の積立額を上げます。所得が増えた年の翌年は、住民税・国民健康保険料・予定納税が一度に増えるため、申告の直後に予定表を作り直しておくと慌てずに済みます。
足りなくなりそうなとき
国税を納期限までに納めないと延滞税がかかります。国税庁の案内では、令和8年の延滞税の割合は、納期限の翌日から2か月を経過する日までは年2.8%、2か月を経過した日以後は年9.1%です。期間が長くなるほど負担が大きくなります。
足りないと分かった時点で、次の順に確かめます。
- 減額や免除の手続きを使えるか:その年の所得が大きく減る見込みなら予定納税の減額申請、国民年金保険料なら免除・納付猶予の申請がある(貯蓄の記事でまとめています)
- 納付の相談をする:国税は税務署、住民税や国民健康保険料は市区町村の窓口に、納期限の前に問い合わせる
- 黙って遅らせない:連絡しないまま滞納すると、延滞税などの負担が増え、住宅ローンの審査などでも説明を求められることがある
よくある質問
売上の何%を積み立てればよいですか?
共通の割合はありません。所得税は所得が増えるほど税率が上がり、国民健康保険料は市区町村で料率が違い、課税事業者かどうかで消費税も変わります。前年の実績か今年の見込みから必要額を出し、入金の回数で割って決めることをおすすめします。具体的な税額の見込みは税理士などの専門家にご相談ください。
積み立ては事業用口座の中で分けて管理してもよいですか?
管理できるならその方法でもかまいません。ただし、残高のうちどれだけが納付用かが見えにくくなり、知らないうちに使ってしまうことがあります。続けにくいと感じたら、納付用の口座を別に作る方法を試してください。
積み立てが余った場合はどうすればよいですか?
翌年の積立の一部として残しておくのが一般的です。所得が増えると、翌年の住民税・国民健康保険料・予定納税も増えます。余った分をすぐに生活費や投資に回すより、翌年の予定表を作ってから使い道を決めることをおすすめします。
参考にした公的情報・資料
記事の内容は公開日時点の情報にもとづきます。制度や税率は変わることがあるため、手続きの前に必ず各機関の最新情報をご確認ください。