所得証明・課税証明・納税証明の取り方|フリーランスが使い分ける3つの証明書
公開 2026-10-29 監修:株式会社エージェントベスト
フリーランスが所得を証明する書類は、市区町村が出す「課税証明書(所得証明書)」と、税務署が出す「納税証明書」の2系統に分かれます。会社員の源泉徴収票にあたる書類はないため、提出先が求める書類がどちらなのかを先に確かめることが大切です。
課税証明書は、証明したい年度の1月1日に住んでいた市区町村で取り、新年度の分は6月ごろから発行されます。納税証明書は住所地を所轄する税務署に請求し、e-Taxを使えばオンラインでも請求できます(2026年10月時点の国税庁と市区町村の案内にもとづきます。発行日や手数料は市区町村ごとに違います)。
3つの証明書の違い
「所得証明」「課税証明」「納税証明」は名前が似ていますが、出す役所と書かれている内容が違います。
| 呼び方 | 発行する役所 | 主な内容 | よく求められる場面 |
|---|---|---|---|
| 課税証明書(所得証明書) | 1月1日の住所地の市区町村 | 前年中の所得、住民税の税額、所得控除の内訳など | 保育所の申込み、賃貸の審査、各種の給付・助成 |
| 住民税の納税証明書 | 同上 | 課税証明書の内容に加え、納付済額と未納額 | 自治体の手続き、入札など |
| 国税の納税証明書(その1〜その4) | 住所地を所轄する税務署 | 所得税・消費税の税額や納付状況、所得金額など | 住宅ローン、事業資金の融資、入札 |
市区町村によっては、課税証明書を「所得証明書」「課税(非課税)証明書」「所得・課税証明書」と呼んでいます。中身はほぼ同じで、住民税を計算するもとになった前年の所得が書かれています。
市区町村の課税証明書(所得証明書)の取り方
どこの市区町村で取るか
住民税は、その年の1月1日に住民登録のあった市区町村で課税されます。そのため、課税証明書もその市区町村で発行されます。たとえば令和8年度の証明書(令和7年中の所得)は、令和8年1月1日に住んでいた市区町村に請求します。
年の途中で引っ越した人は、今の住所の役所ではなく、証明したい年度の1月1日に住んでいた役所に請求する点に注意してください。転出した後は、元の市区町村のコンビニ交付を使えず、郵送かオンラインでの請求になるのが一般的です。
いつから取れるか
新しい年度の証明書は、住民税の税額が決まる時期から発行されます。板橋区の例では、令和8年度の証明書は、コンビニ交付が令和8年6月8日から、窓口・オンライン・郵送では特別徴収(給与天引き)の人が5月15日から、それ以外の人が6月8日からでした。
フリーランスの多くは普通徴収なので、春の時点では前年度の証明書(前々年の所得)しか取れないことがあります。春に審査を受ける予定がある場合は、提出先にどの年度の証明書でよいかを確かめておきましょう。
請求の方法
| 方法 | 必要なもの・注意点 |
|---|---|
| コンビニ交付 | 利用者証明用電子証明書(4桁の暗証番号)を登録したマイナンバーカード。転出した人や、その年度に課税対象でない人は使えない |
| オンライン請求 | 自治体によって対応が違う。マイナンバーカードの署名用電子証明書や、手数料のためのクレジットカードが必要なことがある |
| 郵送 | 申請書、手数料(定額小為替など)、返信用封筒、本人確認書類の写し(求められる場合) |
| 窓口 | 本人確認書類。代理人は委任状 |
手数料は市区町村ごとに違います。江戸川区の郵送請求では1通300円を定額小為替で納める方法が案内されています。請求の前に、その市区町村の案内で金額と必要書類を確かめてください。
税務署の納税証明書の取り方
4つの種類
国税庁の案内では、納税証明書には次の4種類があります。
| 種類 | 証明する内容 |
|---|---|
| その1 | 納付すべき税額、納付した税額、未納税額など |
| その2 | 所得金額 |
| その3 | 未納の税額がないこと |
| その4 | 証明を受けようとする期間に、滞納処分を受けたことがないこと |
フリーランスが融資や住宅ローンでよく求められるのは、所得を示すその2と、税額と納付の状況を示すその1です。どの種類の、何年分が必要かは提出先によって違います。住宅ローンでの使われ方は住宅ローン審査の記事で解説しています。
請求先と手数料
請求先は、今の住所地(納税地)を所轄する税務署です。手数料は、収入印紙か現金で納めます。
| 請求の方法 | その1・その2 | その3・その4 |
|---|---|---|
| オンライン(e-Tax) | 税目数×年度数×枚数×370円 | 枚数×370円 |
| 書面(窓口・郵送) | 税目数×年度数×枚数×400円 | 枚数×400円 |
たとえば「所得税のその2を2年分、1枚ずつ」なら、書面では1×2×1×400円=800円です。収入印紙で納める場合、印紙に消印をすると無効になります。
e-Taxで請求する3つの受け取り方
スマートフォンやパソコンから、e-Taxソフト(WEB版)で請求できます。受け取り方は3つです。
- 電子納税証明書(PDFまたはXML)で受け取る:電子証明書が必要。PDFは期限内なら何度でも使え、自宅やコンビニで印刷できる
- オンラインで請求して税務署の窓口で受け取る:電子証明書は不要
- オンラインで請求して郵送で受け取る:電子証明書が必要
電子納税証明書の提出方法は、あらかじめ提出先に確かめるよう国税庁も案内しています。金融機関などによっては、紙の証明書しか受け付けないことがあるためです。e-Taxの準備はe-Taxの記事をご覧ください。
窓口・郵送で請求する場合
窓口では、納税証明書交付請求書、手数料、マイナンバーカード(ない場合は本人確認書類と番号確認書類)を持っていきます。家族などの代理人が行く場合は、本人からの委任状が必要です。税務署の総合窓口の受付時間は、令和8年10月1日から原則として9時から15時までとされています。
郵送の場合は、封筒の表に「納税証明請求在中」と書き、請求書、手数料分の収入印紙、切手を貼った返信用封筒、番号確認書類と本人確認書類の写しを同封します。
申告直後は発行できないことがある
申告や納税の直後は、その日のうちに納税証明書を発行できない場合があるとされています。確定申告の直後に融資の申込みを予定している場合は、日程に余裕をもって請求しましょう。
提出先に聞いておきたいこと
証明書は、取り直しになると手数料も日数もかかります。請求する前に、提出先に次の点を確かめておくと無駄がありません。
- 書類の種類:市区町村の課税証明書か、税務署の納税証明書か。納税証明書なら「その何」か
- 年度・年分:何年分の所得が必要か。直近の年度がまだ発行されていない時期はどうするか
- 紙か電子か:電子納税証明書のPDFを受け付けるか
- ほかの書類:確定申告書の控えや決算書の写しも必要か
確定申告書や決算書の控えは、提出先から求められたときにすぐ出せるよう、年ごとにまとめておきましょう。申告の書類の保存期間は保存する書類の記事で整理しています。
よくある質問
独立1年目で、まだ確定申告をしていません。所得を証明するにはどうすればよいですか?
確定申告をしていない年の所得は、課税証明書にも納税証明書にもまだ載りません。前年の会社員時代の所得の証明書と、業務委託契約書や請求書の控えなど今の収入を示す書類を組み合わせて提出できるかを、提出先に確かめてください。求められる書類は提出先によって違います。
引っ越したばかりで、今の市区町村では課税証明書が出ないと言われました。
課税証明書は、証明したい年度の1月1日に住民登録があった市区町村で発行されます。転出前の市区町村に、郵送かオンラインで請求してください。転出後はコンビニ交付が使えないことが多いため、その市区町村の案内で方法を確かめましょう。
税金の猶予を受けていても納税証明書は取れますか?
国税庁の猶予制度のFAQでは、所得金額の証明(その2)は猶予の有無にかかわらず発行され、その1の備考欄には猶予中である旨が記載されるとされています。未納の税額がないことの証明(その3)は、猶予を受けている税目については発行されません。猶予の仕組みは税金を払えないときの記事をご覧ください。
参考にした公的情報・資料
- G-1 納税証明書の交付請求手続(国税庁)
- 国税の納税の猶予制度FAQ(国税庁徴収課・令和6年11月)
- コンビニ交付での課税(非課税)・納税証明書の取得(板橋区)
- 住民税の課税証明書(所得証明書)・納税証明書をとるには(江戸川区)
記事の内容は公開日時点の情報にもとづきます。制度や税率は変わることがあるため、手続きの前に必ず各機関の最新情報をご確認ください。