確定申告で保存しておく書類と保存期間|青色・白色の違いと整理の手順
公開 2026-10-29 監修:株式会社エージェントベスト
青色申告のフリーランスは、帳簿と決算関係書類を7年間、領収証・通帳などの現金預金取引等関係書類を原則7年間(前々年分の事業所得などが300万円以下なら5年間)、請求書・見積書・契約書・納品書などを5年間保存します。白色申告でも、収入と経費を書いた帳簿は7年間、そのほかの帳簿と書類は5年間の保存が必要です(2026年10月時点。国税庁「暮らしの税情報」令和8年度版による)。
消費税の課税事業者やインボイス発行事業者になっている場合は、仕入税額控除のための請求書等や、交付したインボイスの写しを7年間保存します。迷ったら「7年」で残しておくと、この記事で挙げる保存期間はすべて満たせます。この記事では、ITのフリーランスが手元に持つ書類をどの区分に当てはめるか、整理の手順とあわせて見ていきます。
青色申告の保存期間
国税庁の「暮らしの税情報」では、青色申告者の帳簿書類の保存期間を次のように示しています。
| 区分 | 主なもの | 保存期間 |
|---|---|---|
| 帳簿 | 仕訳帳、総勘定元帳、現金出納帳、売掛帳、買掛帳、経費帳、固定資産台帳など | 7年 |
| 決算関係書類 | 損益計算書、貸借対照表、棚卸表など | 7年 |
| 現金預金取引等関係書類 | 領収証、小切手控、預金通帳、借用証など | 7年(前々年分の事業所得と不動産所得の金額が300万円以下なら5年) |
| その他の書類 | 請求書、見積書、契約書、納品書、送り状など(取引に関して作成・受領した上の区分以外の書類) | 5年 |
「現金預金取引等関係書類」は、お金の受け取りや支払い、預金の出し入れのときに作られた書類です。領収証や通帳がこれにあたります。前々年分の事業所得の金額で5年か7年かが変わるため、年によって期間が変わることがあります。毎年判定するより、7年で統一して残す方が管理は簡単です。
白色申告の保存期間
白色申告でも、事業所得がある人は帳簿を付けて保存する必要があります。所得税の申告が必要ない人も含まれます。国税庁の「No.2080 白色申告者の記帳・帳簿等保存制度」では、次のように示されています。
| 保存が必要なもの | 保存期間 |
|---|---|
| 収入金額や必要経費を記載した帳簿(法定帳簿) | 7年 |
| 業務に関して作成した上記以外の帳簿(任意帳簿) | 5年 |
| 決算に関して作成した棚卸表その他の書類 | 5年 |
| 業務に関して作成し、または受領した請求書、納品書、送り状、領収書などの書類 | 5年 |
白色申告の記帳は、日々の合計金額をまとめて書くなどの簡易な方法も認められています。ただし、帳簿は7年間残す必要があります。
副業で雑所得として申告している場合
会社員の副業などで業務委託の報酬を雑所得として申告している人は、前々年分の業務に係る雑所得の収入金額が300万円を超えると、現金預金取引等関係書類を5年間保存する必要があります。300万円以下でも、申告の根拠になる書類は残しておくと安心です。
インボイス関係の書類は7年
国税庁によると、消費税の課税事業者が仕入税額控除の要件として保存する請求書等や、適格請求書発行事業者として交付した適格請求書の写し・提供した電磁的記録は、上の表にかかわらず7年間保存します。
インボイス発行事業者として登録しているフリーランスは、取引先に出した請求書(インボイス)の控えが7年保存の対象になります。所得税の区分では請求書は5年ですが、消費税の決まりで7年になる点に注意してください。インボイス制度の全体はインボイス制度の基本の記事をご覧ください。
ITのフリーランスの書類をどこに当てはめるか
実際に手元にある書類を、区分に当てはめると次のようになります。青色申告で、迷ったときは長い方の期間に合わせる前提で整理しています。
| 書類 | 区分の目安 | 保存期間の目安 |
|---|---|---|
| 会計ソフトの仕訳データ、総勘定元帳 | 帳簿 | 7年 |
| 青色申告決算書、貸借対照表 | 決算関係書類 | 7年 |
| 事業用口座の通帳・入出金明細、領収証、レシート | 現金預金取引等関係書類 | 7年(条件により5年) |
| 業務委託契約書、個別契約書、発注書 | その他の書類 | 5年 |
| 取引先に出した請求書の控え | その他の書類(インボイスなら7年) | 5年(インボイスなら7年) |
| 見積書、作業報告書、検収書 | その他の書類 | 5年 |
| パソコンなど固定資産の購入時の領収証 | 現金預金取引等関係書類 | 7年。固定資産台帳と一緒に、減価償却が終わるまで残すと確かめやすい |
メールやWebで受け取った請求書・領収書は、紙に印刷するのではなく、電子データのまま保存するルールがあります。保存の方法は電子帳簿保存法の記事で解説しています。
申告の控えや控除の書類も残しておく
上の表は、事業の帳簿と取引の書類についての決まりです。確定申告書の控えや所得控除の書類は、表に含まれていませんが、残しておくと後で役に立ちます。
- 確定申告書と決算書の控え:翌年以後の申告の参考になるほか、住宅ローンの審査や各種の手続きで所得の証明を求められることがあります。e-Taxで出した場合は、送信したデータと受付の記録を保存しておきます
- 社会保険料控除の証明書:国民年金保険料と国民年金基金の掛金の控除には、証明書の添付か提示が必要です(令和9年1月1日以後に出す令和8年分以後の申告書では、明細書の添付で代えることもできます)
- 寄附金の受領証:寄附金控除は、受領証などを申告書に添付するか、提出の際に提示する必要があります
- 医療費の領収書:医療費控除は明細書を申告書に添付しますが、確定申告期限等から5年を経過する日までの間、領収書の提示や提出を求められることがあります(医療費通知を添付したものを除く。医療費控除の記事)
- 純損失の繰越しの資料:赤字を繰り越している間は、損失が出た年の申告書の控えと帳簿を手元に置いておきます(純損失の繰越しの記事)
保存期間を過ぎた書類の扱い
保存期間を過ぎた書類は、法律上の保存義務はなくなります。ただし、次のような書類はすぐに捨てない方がよい場合があります。
- 減価償却中の資産や、繰り越している損失に関係する書類
- 取引先との間で、契約内容をめぐる確認が続いている案件の書類
- 秘密保持契約で、契約終了後の情報の返却・破棄の方法が決まっている書類
最後の点は、税金の保存期間とは別の決まりです。取引先から受け取った資料に機密情報が含まれる場合、契約で定められた方法で返却・破棄することが求められることがあります。経費の証明として残すのは領収証や請求書であり、取引先の資料そのものではありません。
書類を残し続けるための整理の手順
- 年と月でフォルダを分ける:紙なら年ごとの箱、データなら「年/月」のフォルダに入れる
- 書類の種類をファイル名に入れる:日付・取引先・金額・種類(請求書・領収書など)を名前にすると、後から探しやすい
- 事業用口座を分ける:通帳や明細が事業の記録として使いやすくなる
- 年末に保存期間を書き出す:その年の書類の箱やフォルダに「何年まで保存」と書いておく
- 捨てる前に確かめる:保存期間を過ぎた年の書類を処分する前に、上の「すぐに捨てない方がよい書類」が混ざっていないか見る
会計ソフトの選び方は会計ソフトの記事で解説しています。
自分の書類がどの区分にあたるか判断に迷う場合は、税理士・税務署にご相談ください。
よくある質問
紙の領収書をスキャンしたら、原本は捨ててよいですか?
紙で受け取った書類をスキャンしてデータで保存するには、電子帳簿保存法のスキャナ保存の要件を満たす必要があります。要件を満たさないままスキャンして原本を捨てると、保存していないことになるおそれがあります。詳しくは電子帳簿保存法の記事をご覧ください。
開業前に買ったものの領収書も保存が必要ですか?
開業前の支出を開業費などとして経費にする場合は、その根拠になる領収書も保存してください。経費として計上した支出は、開業前のものでも申告の根拠になります。開業費の考え方は開業費の記事で解説しています。
保存場所に決まりはありますか?
白色申告について国税庁は、帳簿や書類を住所地や事業所などの所在地に整理して保存するよう示しています。青色申告でも、税務調査などで求められたときにすぐ出せるよう、年ごとにまとめておくことが大切です。
参考にした公的情報・資料
- 記帳や帳簿等保存・青色申告(国税庁 暮らしの税情報 令和8年度版)
- No.2080 白色申告者の記帳・帳簿等保存制度(国税庁)
- No.2070 青色申告制度(国税庁)
- No.1130 社会保険料控除(国税庁)
- No.1120 医療費を支払ったとき(医療費控除)(国税庁)
- No.1150 一定の寄附金を支払ったとき(寄附金控除)(国税庁)
記事の内容は公開日時点の情報にもとづきます。制度や税率は変わることがあるため、手続きの前に必ず各機関の最新情報をご確認ください。