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独立・開業の準備

独立1年目のお金の流れ|税金・保険料の支払い時期と、最初の入金までの見通し

公開 2026-10-29 監修:株式会社エージェントベスト

独立1年目のお金は、「入ってくるのは遅く、出ていく額は会社員時代の所得で決まる」という流れになります。報酬は稼働した月の締めのあと、支払期日に入金されるため、独立してすぐには入ってきません。一方で、住民税や国民健康保険料は前年の所得をもとに計算されるので、1年目に届く通知は会社員時代の給与が基準です。

フリーランスとしての所得をもとにした税金の精算は、独立した年の翌年2月16日から3月15日までの確定申告で初めて行います。この記事では、退職してから最初の確定申告までの1年を時系列で並べ、それぞれの時期に何が出ていき、何が入ってくるのかを整理します(2026年10月時点)。

1年目の流れを時系列で見る

ここでは流れを示すために、仮に2026年6月末に退職し、7月1日に開業した場合で並べます。月末締めで報酬を受け取る案件を想定しています。

時期出ていくお金入ってくるお金
退職月住民税の残り(一括で差し引く場合)最後の給与・退職金
退職直後(14日・20日以内)健康保険と国民年金の切り替え後の保険料なし
開業〜最初の締め機器・ソフトなどの立ち上げ費用なし
最初の支払期日国民年金・健康保険料が毎月続く最初の月の報酬
夏〜翌年3月住民税(会社員時代の所得をもとにした残り)・国民健康保険料毎月の報酬
翌年2月16日〜3月15日1年分の所得税の精算(納付または還付)還付がある場合は申告後に入金

実際の時期は、退職した月、契約の締め日と支払期日、住んでいる市区町村によって変わります。自分の場合で表を作り直してみてください。

退職直後に出ていくお金

健康保険は期限のある2つの選択肢から選ぶ

会社の健康保険を抜けたあとは、主に国民健康保険に入るか、会社の健康保険を任意継続するかを選びます(家族の扶養に入れる場合もあります)。

選択肢手続きの期限保険料の決まり方
国民健康保険加入する事由が生じてから14日以内に市区町村へ(厚生労働省)前年の所得などをもとに市区町村が計算
任意継続(協会けんぽの場合)退職日の翌日から20日以内退職時の標準報酬月額×都道府県の保険料率。標準報酬月額は32万円が上限。会社負担分がなくなるため、退職時の保険料のおおむね2倍

任意継続は2年間入れます。どちらが安いかは、前年の所得と住んでいる市区町村の料率で変わります。比べ方は任意継続と国民健康保険の記事で解説しています。

国民年金は退職日の翌日から14日以内

日本年金機構の案内では、退職して国民年金の第1号被保険者になる場合、退職日の翌日から14日以内に、住所地の市区町村で届け出ます。保険料は令和8年度が月17,920円で、納付期限は納付対象月の翌月末日です。会社員のときは給与から引かれていた年金が、独立した月から自分で払うものに変わります。免除や前納の仕組みは国民年金の記事をご覧ください。

住民税の残りをどう払うか

住民税は、会社員のときは6月から翌年5月まで毎月の給与から差し引かれています。川崎市の案内では、6月1日から12月31日までに退職する人は、勤務先に申し出れば残りの税額を一括で差し引いてもらえます。申し出ない場合は、市区町村から届く納税通知書で自分で払います。1月1日から4月30日までに退職した場合は、条件を満たせば5月31日までに支払われる給与などから一括で差し引かれます。

最後の給与から一括で引かれると、退職月の手取りが大きく減ります。普通徴収にすると、独立後の数か月にわたって会社員時代の住民税を払い続けることになります。どちらを選んでも総額は変わらないため、手元の資金の動きで決めます。退職時の手続きは退職後の手続きの記事にまとめています。

最初の報酬が入るまでの期間

稼働してから入金まで時間がかかる

業務委託の報酬は、多くの案件で「月末などで締めて請求し、支払期日に入金」という流れです。7月1日に稼働を始めても、7月分の報酬が入るのは締めのあとの支払期日です。

フリーランス新法では、発注事業者は、給付を受け取った日から60日以内のできる限り短い期間で支払期日を決めることとされています。公正取引委員会のQ&Aでは、月単位で締める場合は「給付を受領した日から2か月以内」として運用すると説明されています。支払期日がいつになるかは、契約の個別の定めを確かめます。

この間の生活費、保険料、立ち上げの費用は、手元の資金でまかなうことになります。必要な額の考え方は独立前の生活費の記事で整理しています。

入金額が請求額と違うことがある

報酬の内容によっては、支払う側が所得税を源泉徴収して差し引いた額が振り込まれます。システム開発の報酬は一般に対象外ですが、経営コンサルタント等の業務の報酬などは対象になります。対象かどうかと精算の方法は源泉徴収の記事をご覧ください。

1年目に届く通知は会社員時代の所得が基準

住民税:前年の給与をもとにした額

総務省の説明では、住民税の所得割は前年1月1日から12月31日までの所得をもとに計算されます。2026年度の住民税は、2025年の会社員としての給与が基準です。独立した年に届く住民税の通知は、フリーランスとしての売上とは関係なく、会社員時代の所得で決まっています。

国民健康保険料:前年の所得をもとにした額

国民健康保険料の所得割も前年の所得をもとに計算されます。たとえば柏市の令和8年度の保険料は、令和7年1月1日から12月31日までの所得をもとに算定すると案内されています。会社員時代の給与が高かった人ほど、独立した年の保険料は高くなります。

厚生労働省の案内では、倒産・解雇などで離職した人や、正当な理由のある自己都合で離職した人などには、前年の給与所得を30/100として計算する軽減があります。独立のために自分から辞めた場合は対象にならないことが多いため、当てはまるかは国民健康保険料の軽減の記事で確かめ、市区町村の窓口にご確認ください。

1年目にはまだ来ない支払い

一方で、フリーランスとしての所得をもとにした支払いは、1年目にはまだ始まりません。予定納税は前年の申告納税額が15万円以上の人が対象で、個人事業税は前年1年間の事業所得をもとに計算されます(東京都の案内)。どちらも、1年目の所得を確定申告したあとの2年目から始まります。2年目に何が増えるかは独立2年目の記事で整理しています。

1年目の締めくくりは最初の確定申告

給与と事業の所得をまとめて申告する

年の途中で退職し、その年に再就職しなかった人は、年末調整を受けられません。独立した年の確定申告では、退職した会社の給与と、フリーランスとしての事業所得をまとめて申告します。会社から受け取った源泉徴収票が必要になるため、なくさないように保管しておきます。

国税庁の案内では、確定申告の期間は原則として翌年2月16日から3月15日まで、納付の期限も3月15日です。申告しても税務署から納付書は送られてこないため、自分で納付の方法を選んで納めます。

納付になるか還付になるか

給与から差し引かれていた所得税は、1年分働く前提で計算されているため、年の途中で退職すると納め過ぎになっていることがあります(国税庁 No.1910)。そこに、事業所得にかかる所得税が加わります。事業所得が大きければ納付、経費や控除が大きければ還付になります。どちらになるかは、申告書を作るまで分かりません。

1年目は、申告の準備も初めてです。帳簿を開業した日から付けておくと、年明けに慌てずに済みます。流れは確定申告の流れの記事にまとめています。

青色申告の申請は1年目の早い時期に

青色申告を1年目から使う場合、承認申請書の期限は、1月16日以後に開業したなら開業日から2か月以内です(国税庁 No.2090)。期限を過ぎるとその年は白色申告になります。開業届の期限はその年分の確定申告期限までですが、青色申告の申請とあわせて早めに出しておくと、期限を逃しにくくなります。

よくある質問

独立した年は、住民税を二重に払うことになりますか?

二重にはなりません。独立した年に払う住民税は、前年の会社員時代の所得に対するものです。独立した年の所得(給与と事業所得)に対する住民税は、翌年度に払います。会社員のときは前年分を給与から引かれていたので、払う時期が自分の手に移るだけです。ただし、会社員時代の所得と独立後の所得の両方に対する支払いが、1年目と2年目に続けて来るため、負担が重く感じられます。

最初の報酬が入るまで、国民年金の保険料を待ってもらうことはできますか?

納付期限は納付対象月の翌月末日です。所得が少ないなどの事情があれば、免除や納付猶予を申請できる場合があります。ただし、免除の審査は前年の所得などで行われるため、会社員時代の所得が高いと対象になりにくいことがあります。住所地の市区町村の窓口か年金事務所にご確認ください。

1年目の確定申告で、退職した会社の源泉徴収票をなくしてしまいました。

退職した会社に再発行を依頼します。確定申告では、給与の支払額や源泉徴収された税額を記入するため、源泉徴収票の内容が必要です。申告の期限が近い場合は、早めに会社へ連絡してください。扱いに迷うときは、税務署や税理士にご相談ください。

参考にした公的情報・資料

記事の内容は公開日時点の情報にもとづきます。制度や税率は変わることがあるため、手続きの前に必ず各機関の最新情報をご確認ください。

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